文学 夜想
昨夜、夜更かしして読みかけの小説を読み終わりました。 久しぶりに、物語の世界にどっぷり浸かれたひと時を持てたことは、私の喜びとするところです。 小説は貫井徳郎の「夜想」。 この作家、私とほぼ同世代で、魂の暗闘をミステリーに仮託して描く骨太な作風の人です。 ミステリーとしての読みやすさや面白さにこだわるのを止めて、自身の内奥から湧き出でる言葉を紡げば、大変な作家になると思うのですが。 交通事故で妻と幼い娘を喪った30代前半の主人公。 仕事は手につかず、ミスばかりしています。 ある時、喫茶店でアルバイトをしている女子大生と出会い、運命が変わっていきます。 女子大生は、物に触れることでその持ち主の過去や精神状態が分かってしまうという特殊能力の持ち主だったのです。 主人公が落とした定期入れを女子大生が拾い、主人公の深い心の闇を覗いて涙をこぼしたことから、二人の関係は始まります。 主人公は心から自分の悲しみを理解できる人を見つけた喜びで、夜の闇を彷徨っているような状態から抜け出せたと感じ、女子大生を崇拝し、彼女を中心に、悩み相談のような、占いのような会を立ち上げます。 やがてその会は雑誌に取り上...