2015-06-26

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文学

「ミノタウロス」あるいは単純な力

昨日、佐藤亜紀の「ミノタウロス」という小説を読み終わりました。 ロシア革命期の混乱を背景に、ウクライナ地方で殺人や盗みなど、悪の限りを尽くす少年と二人の仲間の物語です。 ミノタウロスとはギリシア神話に登場する、頭が牛、体が人間の怪物ですが、これは残虐と暴力の象徴と捉えるべきで、作品にそういう化け物が登場するわけではありません。 ミノタウロスの絵画です。 主人公はウクライナ地方の田舎地主の次男坊として生まれ、何不自由なく育ちます。 ドイツ語やフランス語も学び、お坊ちゃんらしく、どこかシニカルではありますが、特別乱暴な少年ではありません。 しかし、父親が亡くなり、続いて兄も自殺するにおよび、父親代わりとなった男を殺害し、無頼の旅に出ます。 時あたかもロシア革命の真っただ中。 私はロシア革命というのは、基本的に赤軍と白軍が真っ当に戦ったのだと思っていましたが、この小説に描かれているのは、赤白どちらに属していようと、おのれの利益のためには簡単に寝返る兵士、下手をすると正規軍以上の兵器を持ったヤクザ、ごろつき、一匹狼などが暗躍する混沌とした世界。 簡単に人を殺し、女を犯し、食糧や武器弾薬を強奪す...
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