美術

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草間弥生展

今日は残暑厳しいなか、青山のワタリウム美術館に出かけました。 この美術館は、小規模ながら現代アーティストの実験的な作品を展示することで知られ、好事家の間では有名です。 今日観たのは、もはや巨匠と言うべき草間弥生展です。 草間弥生といえば、水玉模様を執拗に描き続ける画家であり、数々の小説やエッセイを発表した著作家であり、1960年代には米国で数々のスキャンダラスなパフォーマンスを繰り広げた異能の人です。 今回の展示は、主に1960年代、彼女が最も過激であった頃を写真や動画で回顧するもので、残念なことに作品そのものはわずかしか展示されておらず、草間弥生の作品展ではなく、まさしく草間弥生展でした。 当時はベトナム戦争が行われ、若者の間ではベトナム反戦運動や、霊的な進化を模索するニュー・エイジ運動が流行、それにヒッピーなどが活躍していました。 草間弥生もその流れに乗り、自ら全裸になって水玉模様を体に描き、ニューヨークの町をゲリラ的に襲ったり、馬や猫にまで水玉のペインティングをしたりしたそうです。 今では真っ赤なおかっぱのかつらをかぶった不気味な婆さんですが、当時はあふれ出る創作意欲をもてあまし...
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空海と密教美術

今日は東京国立博物館に「空海と密教美術」展を観に行きました。 東京国立博物館の特別展示はいつも混むので、9時半の開館に間に合うようにしたところ、混んではいましたが想像ほどではありませんでした。 密教美術というと、法具ですねぇ。 こんな感じです。   ↓ 本来は仏の教えを広めるための有難い道具ですが、伝奇小説の読みすぎか、妖しい戦いを連想して、私は国宝の輝く金色を前に、しばしうっとりと空想の世界に遊んだのです。 私は美術館にはよく行きますが、博物館にはあまり行きません。 美術鑑賞は純粋に娯楽なのですが、博物館は勉強を強いられているようで、面白くないのです。 今日観た展覧会も、正直言って9割方は面白くありませんでした。 そんな中、密教法具のほかに、醍醐寺の如意輪観音菩薩坐像に圧倒されました。 なまめかしく、美しく、柔らかな体の線と、瞑想しているのであろう観音のもの思わしげな表情、そしてグロテスクに生える六本の腕。 混んでいたので長時間観ていられませんでしたが、半日くらいぼけっーと観ていたいような、素晴らしい美術品でした。「枕草子」に、如意輪の人を渡しわづらひてつらづえをつきてなげき給へる、...
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今年は現在の日本橋が完成して百周年だそうで。 日本橋の三井記念美術館で日本橋架橋100年を記念して、橋ものがたりという展覧会をやっていたので、観にいきました。 内容は、茶器や工芸品などで橋の模様があるものや、橋が描かれた日本画を総合的に展示するもので、日本橋とは直接関係がなくても、橋が描いてあればよい、ということのようでした。 正直言って、これは、という名品はありませんでした。 つながりは橋だけなので、雑多なイメージがぬぐえません。  そうはいってもさすがに広重の有名な「大川橋 あたけの夕立」には見惚れました。 ゴッホがこの絵にほれ込んで模写したことで有名な作品です。 もう一つ、北斎の「飛越の堺 つりはし」も迫力がありました。 あまりに暑かったので散歩はせず、三越の美術品ギャラリーを冷やかしました。 美術品はほとんど美術館で観るので、デパートで観るとまったく違った視点になります。 つまり、値札がついているのです。 小さな茶器に2千万円の値がついていたり、絵画作品も軒並み100万円を超えていました。 絵描きも当たると大きいのですね。 ふだん値段のことなど考えず、その作品が私の精神に感応す...
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橋口五葉

猛暑の中、千葉市美術館に行って来ました。 ここは市町村立の美術館としては破格に規模が大きく、予算も豊富なようで、興味深い展覧会を良く開くので、たびたび足を運んでいます。 我が家から5キロ、車で10分ほど、駐車場も無料なので、楽です。 今日は橋口五葉展です。 今朝、NHKの日曜美術館の後のアートシーンで紹介されており、初めて聞く名でしたが、興味を持ったというわけです。 橋口五葉は明治から大正にかけて活躍した画家で、非常に多才な人でした。 少年期には日本画を学び、墨絵などを描いていましたが、青年期に東京美術学校(現東京藝術大学)で洋画を学び、風景画、美人画などで頭角を現し、夏目漱石の本の装丁や、三越の宣伝用ポスターなどで大金を稼ぎ、晩年は浮世絵に没頭したとのことです。 日本画と洋画の垣根を軽々と飛び越え、独自の境地を開きましたが、器用貧乏の感は否めません。 世間では美人画の評判が良いようですが、私は夕焼けや木漏れ日を描いた印象派風の風景画に、彼の真髄があると見ました。 美人画はきれいなのですが、どこか女性を物体として捉えているような感じがして、生命感が感じられないのです。 それに比べて風景...
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アンフォルメル

今日は日本橋のブリジストン美術館に足を運びました。 お目当ては「アンフォルメルとは何か?」展です。 アンフォルメルとは、戦後パリで起こった前衛芸術運動で、ダダイズムやシュールレアリスムの系譜を継ぐものです。  しかし私には、その抽象を超えた芸術が、もう一つぴんときませんでした。  なんというか、アンフォルメル以前の、ピカソやダリの絵画は、それを描かずには入られない、という強い欲求があって、自分が一番の自分の絵のファン、という感じが前面に出ているのですが、アンフォルメルの作家の絵は、何か奇抜なことをやってやろう、という強迫観念のようなものに動かされている感じがするのです。 現に、今日観た絵ではアンフォルメルが起こるずっと以前、印象派全盛の頃に神話や聖書から題材をとった幻想的で浪漫的な絵を描いたギュスターブ・モローの「化粧」に最も魅かれました。 モローの「化粧」です。 私は「化粧」の前に一時間も立ち尽くしました。 その間、何度も絵画の女のスカートの裾が風にあおられたように私に迫ってきて、私はそれをとらえようと両手を出し、その手は空を切ったのです。  私は幻覚を見たのでしょうか。  それにし...
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