美術

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鎌倉銀閣

もう五年以上前になりますでしょうか。 私の友人の女性が、現代美術家と結婚して、個展をやるので見に来てほしい、との招待を受けました。 渡辺五大という作家で、元は東京藝術大学の先生だったらしいのですが、作品制作の時間が欲しいと、大学を退職して作品制作に打ち込んでいるストイックな人らしい、と聞きました。 彼女は貧乏でもいいから夢を追う人と一緒になりたい、と日頃から言っていましたので、ぴったりの相手と結婚したのですね。 恋多き女性というか、失恋話にずいぶんつきあいました。 で、鎌倉でやっているという個展に出向きました。 タイトルはずばり、鎌倉銀閣。 要するに荒れたお堂に銀紙を貼り付けただけのものです。 しかしなぜか、それが山中の隠れ家のような立地と相まって、幻想美を醸し出しているのです。 鎌倉銀閣です。 そこで、作家本人と会い、言葉を交わしました。 もっと狂気じみた芸術家を想像していたのですが、いたって常識的な、一見するとサラリーマンのような人でした。 残念ながら奥様と再会、というわけにはいきませんでしたが、二人の子供に恵まれ、元気に過ごしているとのことで、安心しました。 友人の旦那さんという...
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幽体の知覚

今日は六本木ヒルズの森美術館に出かけました。 展覧会は、小谷元彦展 幽体の知覚です。 現在活躍中の30代の芸術家による作品群は、美と醜の垣根を軽々と乗り越え、物思わしげな雰囲気で、私に迫ってきました。 床と天井に鏡を張り、四方を滝の映像を流します。 すると、上を向けば滝に上っていくように見え、下を向くと奈落に落ちていくように見えます。 私は上を向いたり下を向いたりして、自然の造形を自在に操る技に酔ったのです。 また、痩せた馬に乗った骸骨のように痩せた男が刀を振り上げている等身大の彫刻は、ぞっとするほどの迫力がありました。 この作家は、造形の根源を覗きたいという深い欲望を抱えているかのごとく、骸骨だったり、鍾乳洞だったり、少女だったりを、哲学的とも言える問いかけをもって投げかけてくるのです。 そのため、見終わったあと、非常な疲労を感じました。 帰りは六本木ヒルズから麻布に向かい、麻布十番商店街を冷やかし、疲労を癒すため珈琲をいただき、大江戸線の麻布十番駅から帰りました。 疲れましたが、むしろ心地よい疲れで、充実した美術鑑賞だったように思います。小谷元彦 幽体の知覚 Odani Motoh...
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ホキ美術館

小春日和に恵まれ、芸術に接したくなった私は、昨年11月に開館したばかりのホキ美術館に出かけました。 場所は千葉市緑区あすみが丘です。 ここは写実絵画の専門美術館ということで、写真と見まがうばかりの見事な写実絵画がこれでもか、と並んでいました。 裸婦であったり、滝であったり、静物であったり。 写実絵画に見慣れていない私には、新鮮な驚きでした。 しかし、あまりに写実に忠実であるためか、そこから画家の意図なり思いなりを汲み取ることができませんでした。 勉強不足を痛感したしだいです。 ⇒ ホキ美術館のHPです。 すぐ隣が昭和の森という広大な自然公園になっており、絵画に集中して疲れた神経を休めるため、しばし散策しました。 アップダウンが多く、木々も豊富で、ここは千葉市内か、と疑うほど、自然豊かな公園です。 早いもので、梅が咲き始めていました。 長い一週間を終えて好天に恵まれ、ふらふらと出かけるのはこの上ない喜びです。 これからもう一つの喜び、焼酎をいただきましょう。↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
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九相詩絵巻

九相詩絵巻という絵をご存知でしょうか。 絶世の美女の生前の絵から、死んだ直後の絵、それからだんだんと腐敗してついには土に還るまでを描いた九枚の絵です。 もともと仏教の修行僧が、女色は空しく、また肉体ははかないことを実感し、煩悩を捨てて修行に励むために描かれた絵巻だと言われています。 下に九枚の絵を示します。 これを見れば、どんな美女でも結局は朽ち果て、土に還って行くことを思い知らされ、肉体にとらわれることは空しいと知るでしょう。                         1.生前相 2、新死相                             3、肪脹相                               4、血塗相               5、肪乱相              6、青瘀相                7、噉食相                 8、骨連相                 9、古墳相                    まことにグロテスクな絵で、正視に堪えないものではあります。 現代の日本では亡くなるときれいな体のまま焼いてし...
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村上隆

ニューヨークの感謝祭のパレードに、村上隆作の巨大風船が華を添えた、というニュースに触れました。 少し前、ベルサイユ宮殿で個展を開き、フランスで大ブーイングが起きましたが、客の入りは上々だったようです。  インパクトがありますからねぇ。  等身大の巨乳美少女フィギアだったり、浮世絵をモチーフにした絵画だったり。 今日本でもっとも注目されている美術家でしょうね。 なんでも東京藝術大学日本画科出身者では初めて博士号をとった理論家でもあるようです。 ご本人はマティスのような天才にはなれないけど、ウォーホールやピカソくらいにはなってる、というような強気の発言をしています。  その自信家ぶりがまた素敵です。  謙虚な芸術家なんて、黒い白馬みたいな言語矛盾にさえ感じます。  いわゆるヲタクの人たちからはかなり嫌われているらしいですねぇ。  まず、ヲタクの物だった美少女フィギアをパクって、しかもそれが高値で売買されている上に、現代美術家のほうがヲタクより偉そうだから、とあるサイトで解説されていました。 大体新しいことを始める人はどんな世界でも非難されるものですから、関心をもってもらえればそれだけであり...
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