美術

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村上隆

ニューヨークの感謝祭のパレードに、村上隆作の巨大風船が華を添えた、というニュースに触れました。 少し前、ベルサイユ宮殿で個展を開き、フランスで大ブーイングが起きましたが、客の入りは上々だったようです。  インパクトがありますからねぇ。  等身大の巨乳美少女フィギアだったり、浮世絵をモチーフにした絵画だったり。 今日本でもっとも注目されている美術家でしょうね。 なんでも東京藝術大学日本画科出身者では初めて博士号をとった理論家でもあるようです。 ご本人はマティスのような天才にはなれないけど、ウォーホールやピカソくらいにはなってる、というような強気の発言をしています。  その自信家ぶりがまた素敵です。  謙虚な芸術家なんて、黒い白馬みたいな言語矛盾にさえ感じます。  いわゆるヲタクの人たちからはかなり嫌われているらしいですねぇ。  まず、ヲタクの物だった美少女フィギアをパクって、しかもそれが高値で売買されている上に、現代美術家のほうがヲタクより偉そうだから、とあるサイトで解説されていました。 大体新しいことを始める人はどんな世界でも非難されるものですから、関心をもってもらえればそれだけであり...
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銀閣

昨夜NHKで銀閣(慈照寺)の特集番組を放送していました。 最新の調査で、銀閣の二層は銀色に近い白い成分が貼られていたらしいことが判明したそうです。 子どもの頃、金閣の向こうを張って、銀箔を塗る予定だったが、予算不足で塗れなかった、と習いましたが、それは誤りであったようです。 修学旅行で銀閣を訪れた時は、がっかりしましたね。 きらびやかな金閣に比べて、まるで山中の小さなみすぼらしいお堂のようでした。なんで国宝なんだろうと、疑問に思ったことを思い出します。 番組では、月が現れてから天空高くのぼり、沈むまでを、様々な角度から一晩じっくり見られるように工夫が凝らされいたことが、CGを使って平易に説明されていました。 銀閣の向かいに渡り廊下でつながったお堂があり、ほろ酔い加減の足利義政が、月の運行に従って月を追うように二層から一層に降り、さらに別棟に渡って月と白く映える銀閣のコラボレーションを楽しんだのではないか、という想像は、とても楽しいものです。  一方、足利義政は応仁の乱にも目をそむけ、餓死者が大量にでても頓着せずに月や花に浮かれていた、無能の将軍というイメージが強くあります。 くやしくぞ...
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上村松園の美人画

現在、東京国立近代美術館で、上村松園展が開催中です。 これを是非見に行きたいと思っていましたが、人気の高い画家だけに土日に行ったら人の頭を見に行くようなものだと危惧し、今日休暇をとって、朝一番に出かけました。 しかし、作戦は失敗。 年配のご婦人を中心に、券売所は二重三重の列がとぐろをまいていました。 なんとか入館しましたが、まさに見えるのは白髪頭や禿げ頭ばかり。 平日でこんなに混んでいる美術展は初めてです。 それでもじりじりと前に行き、いくつかの見たかった絵は見ることができました。 その他の絵は、残念ながら素通りせざるをえませんでした。 上村松園の絵はほとんどが美人画ですが、男が描くとどこか艶っぽく、性的な香りがするのに対して、女性が描くと、清らかな美しさが強調されます。 若い美人、母と子、恋に狂った女、舞い踊る女、蚊帳をつる女、どれもどこか清らかです。 女性に人気が高いのも故なしとしません。  その後、行く予定ではなかったのですが、消化不良気味だったので、工芸館にも立ち寄りました。 茶事をめぐって展です。 こちらは近世から現代の茶道具などが並んでいて、渋い展覧会でした。 本館とは正反...
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退廃

土曜日に芸大美術館に行き、シャガールの絵に感銘を受けたことは、すでにブログに書きました。 今では何の違和感もない写実から遠く離れたシャガール等の絵画ですが、一時期、ドイツで退廃芸術として迫害されていたことがあります。 ナチは優れた北方民族の芸術は、健康的で分かりやすくあらねばならないと考え、抽象的な芸術を病的退廃として退けたのです。  皮肉なのは退廃芸術論を最初に唱えたのが、ユダヤ人の医者だったことです。 ブダペスト生まれの内科医、マックス・ノルダウは、近代芸術が規格を外れていったのは、急速な近代化による環境の変化のため、多くの芸術家が脳、もしくは眼、あるいは精神の病気に罹ったためだと説きました。そのために精神病患者に絵を描かせ、近代絵画との類似を指摘する念の入れようです。 この説は19世紀末、日本を含む多くの国々でかなり受け入れられたようです。 印象派からダダイズム、シュールレアリスムに至る一連の近代芸術が、多くの伝統的芸術愛好家から蛇蝎のように嫌われていたのでしょうね。  ナチはこの説を援用し、いわゆる近代芸術家は、スラブ人やモンゴロイド等の劣等人種か、そうでなければ精神病だと断じ...
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シャガール

昨日は東京芸術大学美術館に足を運びました。 「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」展です。 シャガールは色彩の魔術師と呼ばれる天才画家ですが、その色彩感覚の鋭敏さは、驚嘆すべきものです。他のロシア・アヴァンギャルドの画家の作品も数多く展示されていましたが、遠目から見ても、シャガールの作品はそこだけスポットライトが当たったかのように、輝いて見えます。 この時期の絵は、ピカソにしてもダリにしても、どこか不思議な構図を持っています。シャガールもご多分にもれません。 しかしなぜか、シャガールの作品は明るく、楽天的な印象を与えます。 こればっかりは持って生まれた資質としか言いようがないものです。 このところ日本美術の展覧会にばかり足を運んでいましたので、久しぶりに見る現代西洋アートは、私に鮮烈な印象を与えました。 じつをいうと、30歳を過ぎるまで、私は日本美術よりも現代西洋アートを好んでいたのです。シャガール (ニュー・ベーシック・アート・シリーズ) (ニュー・ベーシック・アート・シリーズ)インゴ・F・ヴァルター/ライナー・メッツガータッシェンシャガール―色彩の詩人 (「知の再発見」...
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