美術

スポンサーリンク
美術

予感

初夏の陽気に恵まれながらも、屈託を抱えた私は、それをしばし吹き飛ばすため、散歩に出かけました。 どこへ行こうかと考え、なぜか、東京藝術大学が頭に浮かびました。 なぜでしょうか。 行ってみれば分かること。 私は不思議な予感を感じつつ、都営大江戸線の上野御徒町駅で降りて、上野公園を突っ切り、東京藝術大学にたどり着きました。 東京藝術大学の売店で、なぜ私がここを目指したのかが、判明しました。 あまりにも美しい半月の絵が、売られていたのです。 描いたのは東京藝術大学OBの山岡忠曠という若い絵描き。 1985年生まれと言いますから、やっと30歳。 まだこれからの人です。 こういう経験は三度目で、一人はギュスターブ・モロー、もう一人はやなぎみわです。 ギュスターブ・モローはとうの昔に亡くなっているので新作を楽しむことはできません。 しかし、やなぎみわと山岡忠曠はこれから制作されるであろう美術を待つ楽しみがあります。 で、その絵、5万円ちょっとで売っていたのですが、とりあえずボーナスが出るまで待とうと思い、今日は購入を断念しました。 それほど小さな絵ではなかったので、車で来たほうが良かろうという気持...
美術

会田誠展 天才でごめんなさい

今日は冷たくて強い北風が首都圏を吹き荒れていましたね。 外を歩くのは困難なこの日こそ、かねて行きたいと思っていた展覧会に出かけました。 六本木ヒルズの53階にある森美術館に会田誠展・天才でごめんなさいを観に行きました。 会田誠といえば、村上隆と並ぶ現代アートの先端を行く美術家ですね。 絵画、彫刻、映像、様ざまなジャンルを超えて活躍するスーパースターです。 極めて写実的な作品もあれば、悪ふざけのような作品もあります。 唯一写真撮影が許されていた作品、考えない人を撮ってきました。 美術館に入ると、代表作、あぜ道が迎えてくれました。 写実的でありながら、あぜ道と少女の髪の分け目が繋がっているという不思議な構図で、私はこの作品を好んでいます。 というのも、あまりに過激な作品や政治的メッセージ性を持った作品が多いなか、この作品には不思議な郷愁みたいなものを感じるからです。 過激と言えば下の作品。 犬というタイトルの連作の一部です。 幻想的とも残酷とも言える独特の美学に貫かれているとは思いますが、人を不快にさせる要素も併せ持っています。 ただこの構図、会田誠のオリジナルではありませんね。 30年以...
美術

刺青

先ほどまでバラエティー番組で、刺青を入れた若い女性数名と、刺青を入れることに反対する芸能人数名の座談会をやっていました。 刺青を入れようが入れまいが成人ならば勝手でしょうに。 それをなんでまたテレビ番組に呼んで入らぬお節介をするのでしょうね。 刺青を入れていると、一般社会で生きづらくなることは間違いないでしょう。 橋下大阪市長も市職員の刺青を禁じるような発言をしていましたし、健康ランドもたいていは刺青お断りですし、接客業のほとんどは刺青を入れているだけで採用されないでしょう。 おそらくまともな親なら倅が刺青を入れた女と結婚すると言ったら反対するでしょう。 しかしだからこそ、刺青には独特の価値があります。 すなわち、一般社会の常識とは背を向けて、生涯闇社会で生きていくのだという覚悟を示すには、簡単には除去できない巨大な刺青を全身に入れることが効果的です。 だからヤクザは刺青を入れるのでしょう。 それをファッションだとか個人の自由だとか言って刺青を入れ、しかし偏見や差別に反対だというのは、自己矛盾でしょうね。 世間から嫌われるようなものだから入れているのでは? それだけが唯一の価値なのでは...
美術

美人画

先ほどNHK-BSで上村松園の特集を放送していました。 上村松園といえば、わが国で最も有名な女流画家の1人でしょうね。 そして日本画で女性を描き続けた人として有名です。 私も数年前、東京国立近代美術館に上村松園展を観に行きましたが、あんまり混んでていやになりました。 私が彼女の美人画に感じるのは、精緻で美しいけれど、どこか情動が感じられない、ということです。 おとぎの国の美人とでも申しましょうか。 下は上村松園の「蛍」です。 私が男だからなのか、きれい過ぎてつまらないような感じがします。 どちらかというと、同時代に美人画家として活躍した鏑木清方のほうが人間の情を感じます。 鏑木清方の「遊女」です。 画題のせいもありますが、妖艶な感じで、見惚れますねぇ。 さらに進んで、ほぼポルノ扱いされていた責め絵の伊藤晴雨となると、ほとんど欲望の塊のような絵です。 上村松園や鏑木清方と違って芸術家扱いされないまま、かなりえげつない責め絵を残し、SM趣味の方々から神のように崇められました。 人それぞれに趣味はあるでしょうが、私は最も強く人間精神の躍動を感じさせる伊藤晴雨の責め絵に、心惹かれます。 団鬼六...
美術

二条城展

今日は江戸東京博物館に二条城展を観にいってきました。 この博物館、都内にしては珍しく、巨大駐車場があるのですよねぇ。 その分行くのが気楽です。 二条城展は、徳川家康による造営から、徳川慶喜による大政奉還までの徳川家の栄枯盛衰を追いながら、襖絵や天井画の実物が展示されていました。 京都から外して持ってきたんでしょうねぇ。 今京都の二条城に行ってもお宝が観られないということで、得した気分。 それにしても武家政権が好む美術というのは荒っぽいものだ、という印象を受けました。 二の丸御殿大広間の「松鷹図」など、巨大な上に鷹があり得ない比率の大きさで描かれており、縮み志向の日本美術の中では、異色です。 権力者だけあって、金ぴかのやかんの様に大きな酒盃だの、派手さが目に付きました。  後水尾天皇に嫁した徳川秀忠の娘、東福門院の木像には、菊の御紋と葵の紋が並んで彫られており、これは不敬なんじゃないかと思いました。 徳川将軍家はかしこきあたりと並び立つと言いたかったんでしょうけれど。 暑さ厳しいせいか、館内はエアコンが効いていますから、けっこう客が入っていました。 帰り、ドトールで休んでいると、イタリア...
スポンサーリンク