文学

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同性愛

耽美主義の芸術の系譜には、同性愛を扱ったものが多くあります。 文学ではジャン・ジュネ、ヴェルレーヌ、ランボー等。 映画では、古くは「モーリス」、その後「ブエノスアイレス」、「太陽と月に背いて」、最近では「ブロークバックマウンテン」等。邦画では、「二十歳の微熱」などがあります。 「モーリス」だけは、公開当時、私自身が紅顔の美少年であったため、邪まな目でこの名画を見に来るお姉さまたちの視線が怖く、劇場に足を踏み入れることができませんでした。 「モーリス」はビデオで観たのですが、衝撃を受けました。単純な耽美主義の同性愛映画ではなく、社会と個の関係、非社会的な愛を、美しい映像で鋭く描いていたからです。お姉さまたちがマニア的に劇場に殺到しなければ、この映画はもっと正当に評価されていただろうと思います。 私はもう1年以上、享楽主義の同性愛者の兄と、求道的な弟の葛藤を描く長い小説に取り組んでいます。 同性愛者を描くと、そこには必ず、差別の問題や、社会的常識に反して生きる者の生き様などが浮かび上がってきます。 物語を作る欲望に取りつかれた者にとって、たいへん魅力的な題材です。モーリス HDニューマスタ...
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本朝聊斎志異

夏といえば怪談。 そこで、私が最も尊敬する現代作家、小林恭二の「本朝聊斎志異」を読みました。 「聊斎志異」といえば、清代の著名な怪異譚ですが、小林恭二はこれを底本に、見事に本朝にうつしとっています。悲劇・喜劇・怪異のオンパレードです。 物語を読む楽しみは、元来、このような、この世ならぬお話に尽きると言えます。 充分に堪能しました。本朝 聊斎志異小林 恭二集英社
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白浪五人男

7月25日(金)の深夜にNHKで放送された「劇場への招待・『青砥稿花紅彩画』(あおとぞうし はなの にしきえ)」を録画したビデオを観ました。 通称「白浪五人男」で知られている歌舞伎です。 歌舞伎特有のご都合主義も気にならない、娯楽作でした。 尾上菊五郎演じる弁天小僧の江戸弁にうっとりとし、悪を描く徹底ぶりに圧倒されました。 作者の河竹黙阿弥については、小林恭二の評論「悪への招待状」がお勧めです。
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伊勢物語

ぼんやりした頭で、「伊勢物語」を二十年ぶりに再読しました。 二十年前は、西洋文学に興味があったので、「伊勢物語」を読んでも、物語の体をなしていないように感じましたが、今読むと、日本独特の、想像力を誘う物語形式であると感じました。 いわゆる「色好み」の「歌物語」ですが、現在、このような形式で物語を作ることは極めて困難でしょう。 歌が物語の中心ですから、極端に言えば、和歌集にちょっと長い物語風の注釈をつけただけのようにも見えます。 しかし、有名な伊勢斎宮との密通など、ショッキングな内容も含んでおり、そうした読み方は間違いでしょう。 やはり、「伊勢物語」は独特の形式を確立したものと言わざるを得ません。
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モンキー・ビジネス

今年の春に創刊された季刊文芸誌「モンキー・ビジネス」2号を購入しました。 「眠り号」とのことで、睡眠に関する小説や詩を掲載しています。異色なのは、中島敦など、昔の作品も掲載していることです。 私は、昔、夢日記を付けていたことがあります。しばらく付けていると、夢の記憶があまりに鮮明になって、現実と夢を混同するようになり、半年ほどで止めました。筒井康隆も夢日記を長年付けているとか。大丈夫なんでしょうか。
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