文学

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さくらのまち

今日は休暇を取って千葉大学医学部附属病院眼科を受診しました。 二か月後、もう一回診察して問題無ければ無事大学病院を卒業して元々通っていた町のクリニックだけに通院することになりました。 良かった。 帰宅して、「さくらのまち」という小説を読みました。 さくらは花の桜であり、偽物のサクラでもあります。 システムに支配された世界での自殺防止のためのサクラの始動を巡る物語です。 システムは自殺願望のある者に親密に接する疑似友人、疑似恋人を送り込むのですが、それがかえってサクラだらけの世界に見えてしまう病を生み出します。 サクラのいる世界を漂う陰鬱な空気の中、中学から大学までの男女3人の恋と疑心暗鬼が描かれます。 表紙の絵と異なり、ヘヴィな物語でした。
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三日間の幸福

昨夜は三秋縋という作家の「三日間の幸福」を読みました。 この人の小説を読むのは「君の話」に続いて2冊目です。 貧乏学生が寿命・時間・健康を買い取ってくれる店があると聞き、三か月だけ残して寿命を売ってしまいます。 もはや自棄を起こしたとしか思えません しかもわずか30万円(その後、じつは30円だったことが明らかになります)。 さしたる能力も実績も無い貧乏学生など、そんなものなのかもしれません。 ただしこの主人公、小学生時代は神童のごとく成績が良かったという設定になっています。 10で神童15で天才二十歳過ぎればただの人、と言ったのは誰でしたか。 あまたある狭い学校の中でいかに成績が良くても井の中の蛙ということでしょう。 寿命を売った人間には、最後の3日間を除き、監視役がつくことになっています。 反社会的行動に出たならただちに殺害するためです。 監視役は寿命を売った本人以外には見えないことになっています。 主人公に付いた監視役は二十歳くらいの憂いを帯びた美女で、二人は仲良くなっていきます。 主人公には10歳で転校していった幼馴染の少女がいて、互いに二十歳になっても独身だったら結婚しようとい...
文学

君の話

昨日、千葉県はひどい豪雨に見舞われました。 千葉市に引っ越して27年くらい経ちますが、これほどの大雨は初めてで、電車は止まり、道路はあちこち冠水していました。 幸い私は夏季休暇中だったので、出勤せずに済みましたが、出勤した人々はえらい目にあったことでしょう。 今日は静かに読書をして過ごしました。 文庫本で410頁ほどの小説「君の話」を一気読みしました。 記憶を巡る物語です。  近未来、記憶を消し去る薬や、在ったかもしれない過去の記憶を偽憶と称して埋め込む薬が開発されます。 記憶を消す薬は当然嫌な記憶から逃れるためで、偽憶を埋め込む薬は、例えば暗い青春時代を送った者が長じて麗しい思い出に換えたいなどの理由で服用するものです。 偽の記憶によって7歳で出会ってから15歳までの記憶を持つ幼馴染の話が描かれます。 何とも切ない話です。 本当は幼馴染でもなんでもない二人の男女が、それぞれに記憶を書き換えて恋に落ちるのです。 人の記憶なんて曖昧で不確かなものですが、その不確かさを逆手に取った優れた青春SF小説に仕上がっています。 この作者の作品を読むのは初めてですが、他の作品も読んでみたくなりました...
文学

筒井康隆原作の映画「敵」をネットフリックスで鑑賞しました。 小説を読んだのは随分昔のことですが、非常に感銘を受けて、何度も読み返したことを覚えています。 一人暮らしの元大学教授の日常が描かれます。 そして教え子がたびたびやってきます。 しかしそれすら、元大学教授の妄想かもしれないと思わせます。 敵というのはあの世とこの世を行きつ戻りつし始めた老いた男に見えるメタファーでしょう。 静かで、怖ろしくて、良い映画です。
散歩・旅行

夏季休暇

明日から8月17日まで夏季休暇を取得しています。 嬉しいですねぇ。 8月9日から11日は2泊3日で那須高原に行く予定です。 昨年、那須に行く予定だったのですが、同居人がコロナに罹患してしまい、行けませんでした。 今年はそのリベンジです。 それ以外は読書をしたり映画を観たりしてのんびり過ごそうと思います。
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カフカ 俳句

カフカが定型詩であれ、自由律であれ、句作に精進したことはありません。 カフカは多くの印象的な警句を残しています、 それらを自由律俳句と捉えて遊ぼうとしたのが本書です。 それは思考の遊びもしくは冒険として誠に面白いものです。 カフカは「変身」や「城」など、名作を残しながら、生前は評価されなかった人で、厭世的な言葉を多く残しています。 ありとあらゆる理由から泣いた 眠っているうちに夢を見失った 静かに生きたいのではなく、静かに滅んでいきたい 真実は肉体の苦痛だけだ  人生はただ怖ろしい これらの句?。 40代半ばにして命を失った作家。 彼は常に死への親和性を保ち続けていました。 それは怖ろしいことであったろうと思います。 死にたい、でも死ねない、書きたい、でも売れない、人生に絶望する所以です。 はるか昔、私は大学でドイツ語の講義を取り、そのテキストはカフカの「城」でした。 「城」は、私に恐怖に近い感情を抱かせました。 今、ドイツから遠く離れた日本で、ドイツを代表するに至った作家の警句で遊ぶとは、なんと贅沢なことでしょう。 少しほろ苦いその遊びに、私も付きあってみたいと思うのです。
文学

クララとお日さま

カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞後第1作となる長編「クララとお日さま」を読みました。 500頁弱の作品ですが、3日もかかってしまいました。 この作品は、AIを題材にしています。 今時AIを題材にした小説など珍しくもなんともありませんが、この作品の独特な点は、AI自身が語り手になっているところです。  AF(アーティフィシャル・フレンド=人工親友)と呼ばれる、子供の友達であり世話役となるロボットを描いています。 クララという名のAFがある少女に買われ、少女が大学に入るまでの交流を描いています。 いや、交流という言い方は不完全でしょう。 少女は重い病気にかかり、命の危機に瀕するのですが、その時少女の母親はクララが少女の特徴を深く学習し、少女そのものとなってくれることを願うのです。 人工娘ですね。 しかし少女は、クララがAFの栄養源であるお日さまに必死に願うことにより、見事回復するのです。 この長い物語は、クララがお役御免となって捨てられ、ゴミ捨て場で過去を回想するシーンで終わります。 AFとして最高に幸せだった、と。 そしてこの物語で語られる世界は、カズオ・イシグロの名作「わたしを離さ...
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夏帆

村上春樹の最新作「夏帆」を一気読みしました。 この作者にしては珍しい、女性が主人公の作品です。 女優の夏帆とは何の関係もありません。 春樹節炸裂です。 奇妙で不思議な世界で冒険し、最後には大団円を迎える、という。 そして全てが終わった後、主人公の夏帆は奇妙な人や動物、虫を一人一人思い返して、そこには不倶戴天の敵も含めて、涙が枯れるまで泣き続けるのです。 多くは語りますまい。 ご一読をお勧めします。
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ギンイロノウタ

またもや村田沙耶香の小説を読んでしまいました。 「ギンイロノウタ」と「ひかりのあしおと」の2編の中編が収められた本です。 村田沙耶香初期の作品ということで、それほど狂気じみてはおらず、いかにもな文芸作品に仕上がっています。 それでもどこか不気味です。 怖い文芸作品はホラー小説とは似て非なるものです。 私の分類では、文芸作品は一度読んだだけで中身を忘れない、ホラーはすぐ忘れてしまうということです。
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何者

昨夜は「イン・ザ・メガチャージ」で本屋大賞を取った朝井リョウの直木賞受賞作「何者」を読了しました。 5人の就活生の群像劇になっています。 学生らしいあれこれが語られ、いわゆる青春小説かと思わせますが、ラストに至って、そんな生易しいものでは無いと気づきます。 ツイッター(当時)に裏アカを持つ主人公。 彼は観察者として、仲間たちの行動を観て、裏アカでそれらを批評するのです。 お前は一体何者なんだ?、と。 それが友人の一人にばれてしまいます。 責められる主人公。 お前は一体何者なんだという問いは、当然、自分に返ってきます。 スリリングな展開でした。 私は就職して35年目を迎えていますが、何者にも成っていないし、何事もなしていないと感じています。 ただ目の前の仕事をこなし続けただけです。 就活生が自分は何者かなんて分るはずがありません。 しかし彼らは、自分がいっぱしの何者かであると信じて就活に臨み、何者であるかを問うています。 私は56歳で何者でも無い、鵺(ぬえ)のような存在になり果ててしまいました。
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タダイマトビラ

昨夜は村田沙耶香の「タダイマトビラ」を一気読みしました。 私はこの作者の作品が得意ではありません。 作家仲間からクレイジー沙耶香と呼ばれるほどの狂気じみた作品ばかりだからです。 独特の世界観で、現代社会のシステムを切って捨てます この作品では、自分の家族を失敗作と感じている少女が、理想の結婚をして成功した家族を作ることを夢見る場面から始まります。 幼い恋を経験し、高校生になると大学生と付き合うようになり、彼からプロポーズされます。 ここまでは普通の意匠を纏っています。 しかしここで少女は彼に嫌悪を感じ、腹を思いっきり蹴とばして逃げ出してしまいます。 少女は結婚や家族という概念はあるべきではなく、それよりも前の、システムが誕生する前の世界に帰らなければならない、と強く感じます。 そしてバラバラだった家族が仲良くなって家族ごっこを始めるに至り、彼女の何かが弾けます。 このシーン、怖気を感じるほど不気味な迫力に満ちています。 苦手だと思いながら、書店で見かけるとつい、手にとってしまいます。 通販で買うことはありません。 空恐ろしい小説家です。
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ブルーボーイ事件

日本で最初の性適合手術(当時は性転換事件)を行った産婦人科医が優生保護法違反の罪で逮捕、起訴された事件を基にした映画「ブルーボーイ事件」をネットフリックスで鑑賞しました。 今でこそLGBTQ(女性同性愛者・男性同性愛者・両性愛者・性自認が実際の肉体と異なる者・性自認が曖昧な者)の権利が声高に叫ばれ、表向きは性的少数者を差別してはならない社会になりましたが、この映画で描かれた半世紀以上前の日本社会では、差別は当然のことでした。 私は高校生の頃から男性同性愛に強い興味を持ち、多くのゲイの映画や小説に接し、美しい世界だと感じてきました。 しかし悲しいことに、私自身の性的嗜好はあまりにもストレートです。 すなわち、20代半ばから40歳くらいの優し気な女性を好む、という。 両性愛者ですらありません。 そして同性愛の世界に深いシンパシーを覚える私にも、多分差別意識はあるのだと思います。 フィクションで描かれる同性愛は美しくても、現実のそれはそうとも言い切れないからです。 したがって私は生身のLGBTQに出会ったなら、嫌悪を覚えるかもしれません。 私の職場に、性適合手術を受けて戸籍も男から女になった...
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人間標本

左目の手術をしてから、これまで読書は控えてきました。 目が疲れるからです。 しかし職場ではパソコン仕事をしているわけで、読書も問題なかろうと思い、まずは気楽なエンターテイメントからがよろしかろうと、御大、湊かなえの「人間標本」を一気読みしました。 タイトルがなんだか江戸川乱歩風ですね。 蝶々の研究者である大学教授が、美少年たちを殺害し、標本にする話で、どこかで聞いたような気がしますが、それを見事に読ませる力は大したものです。 しかし私は、何だか平凡な気がしました。 イヤミスの女王としてはもう少しだったように思います。
文学

かくしごと

最近お気に入りのモデルであり女優でもある出口夏希が主演する1年前の映画『か「」く「」し「」ご「」と「』を早朝からDVDで鑑賞しました。 出口夏希は他の作品でも女子高生役ばかりですが、じつは24歳だそうです、 24歳で女子高生役はやや難ありですが、おじさんから観るとあまり違和感を感じません。 単に若い、というだけで括られてしまうようです。 高校生男女数名の群像劇になっています。 そしてそれぞれに、人には言えない特殊な能力を持っています。 他人の感情が記号化されて見えてしまう者、誰が誰を想っているいるかが見えてしまう者など、様々です。 ひねりが効いていることは確かです。 ただし、ひねりが上手く回っているかは別問題で、物語というものは難しい。 青春SF物と言うんでしょうか、私のようなおっさんが喜ぶ映画では無いかもしれません。 うまく感情移入できませんでしたし。 今日の飯。 朝はハム2枚、卵2個を使ったハムエッグと全粒粉パンのトーストが1枚。 昼はイカ墨スパゲティとほうれん草のソテーと熱い珈琲2杯。 晩はそごう千葉店で購入した1,500円の和食弁当。  今日は千葉の駅ビルに在る大型書店に本を買...
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追悼 岡野弘彦先生

眼科医の許可が出て退院したものの、なかなか左目のゴロゴロとした違和感と赤さが取れません。 鏡で見る私の左目は異様に赤く、知らない人が見たらさぞかし気色悪く思うでしょう。 次の診察は5月8日の金曜日。 それまでに赤さや違和感が取れていると良いのですが。 今朝の朝食はあまり旨くありませんが血糖の上昇を抑えるという全粒粉パンを2枚。 昼はホタテの小エビとブロッコリーがたっぷり載ったジェノベーゼとサラダをいただき、食後に珈琲を2杯飲みました。 晩は葱と鶏肉の炒めと生キャベツ、トマトを食す予定。 これから出来るだけ何を食したかを記録していきたいと思います。 糖尿の気もあるので。 緑内障、高コレステロール、高血圧、気管支喘息、糖尿、双極症。 眼科と内科と精神科に定期的に通っています。 その他半年に一度の歯のクリーニング。 年を取ると病院通いを自慢するようになると言いますが、本当にそうですね。 人の体も経年劣化は避けられず、どんなにメンテナンスをしても、必ず、全員、死に至ります。 私の肉体も緩やかに衰えているのを感じます。 もっと年を取ると、衰えは加速度的に早くなるのでしょう。 先般、私の大学時代の...
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