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今日は朝一番で近所のシネコンに向かいました。 車で15分ほど。 観たのは北野武監督の「首」です。 本能寺の変前後の信長、秀吉、光秀、荒木村重らを描いた大作ですが、好悪が分かれる作品だと思います。 まず、やたらと首を切り落とし、高々と掲げるシーンがあること。 日本人はかつて首狩り族だったことを思い知らされます。 NHK大河ドラマでは絶対に無いシーンです。 NHKで描かれない点と言えばもう一つ、武人の契りと称する男色が色濃く描かれることです。 この作品では荒木村重と光秀は恋仲ということになっており、光秀に辛くあたる信長はじつは光秀に懸想しています。 信長と森蘭丸との濡れ場は特に濃厚です。 かつてわが国では男色はタブーではなく、むしろ男の嗜みの一つであったと聞きます。 男とも女とも色を楽しむのがむしろ普通であったとか。  そういう意味では、この映画はもしかしたらリアリティを求めたのかもしれません。 しかし、本能寺の変あたりの秀吉は脂が乘りきり、野心に燃えていたはずですが、たけし演じる秀吉はユーモラスで枯れたおじいさんにしか見えません。 他のキャストがなかなか良かっただけに残念です。 特に信長...
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お買い物

今日、私の職場は電気設備の点検のため、担当部署以外はお休みとなりました。 月曜日に自分から休暇を申請することなく休めるなんて最高です。 しかも今日は雲一つ無い見事な秋晴れに恵まれました。 10月になって、我が家で流行りの深夜ドラマ「きのう何食べた?」のシーズン2が始まりました。 料理好きの弁護士と美容師の、アラフィフ男二人が繰り広げるゲイカップルの日常を描いて見事です。 この作品の良い点は、濡れ場が全く無いこと。 人生のほろ苦さと楽しさを描いて秀逸です。 この二人、都内の某所の2LDKで暮らしています。 都内のどこかは明らかにされません。 ただし、新小岩のアーケードにあった中村屋というスーパーマーケットを頻繁に訪れていたことから、新小岩が舞台なのかと思っていました。 ところが中村屋が閉店し、中村屋の後に通いだしたニュー宝屋も閉店。 美容師のコレステロール値が上がったことを気にした弁護士が、魚料理をメインにしようと考えて通い始めたのがアキヨシ。 じつはアキヨシ、私の家から徒歩20分ほどの距離にある新鮮な魚が豊富なことを売りにしたスーパーでロケをしていることが判明。 そのスーパーには内野聖...
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母と暮せば

昨日は母と暮らせばという映画を観ました。 私の趣味嗜好からいって、映画館に行くこともDVDを借りることも絶対に無いであろう種類の作品です。 ネットフリックスでなんとなく観始めて、最後まで観てしまいました。母と暮せば 吉永小百合松竹 舞台は終戦後3年目の長崎。 南方の戦場で長男を、原爆で次男を喪い、一人で暮らす母親の物語。 次男は長崎医科大学で学ぶ学生で、講義を受けている最中に原爆で命を落とします。 次男の元恋人が頻繁に母親を見舞い、どこかで次男が生きているのではないかと互いに一縷の望みを賭けています。 しかし終戦3年目の8月9日、母親と元恋人が墓参りに行き、母親はもう諦める、と宣言します。 涙をこぼす元恋人。 辛かったことでしょう。 その夜、次男が突如母親のもとを訪れます。 もちろん、この世の者では無いことを母は悟っています。 幽霊でも良いから会いたいという願いを次男は叶えるのです。 幽霊は頻繁に登場し、母親との会話を楽しみます。 その後戦中戦後のいくつかのエピソードが語られ、母親は静かに眠るように逝ってしまいます。 ここに至って、母親がこの世とあの世を行きつ戻りつしながら次男と会って...
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54年目の生誕祭

今日は私の誕生日。 54歳になりました。 そろそろ初老でしょうか。 今年の夏休みもコロナの流行に鑑み、旅行は取りやめました。  せめて映画くらいは観ようかと、車で15分ほどのシネコンに出かけました。 観たのは「リボルバー・リリー」です。 大正末期の帝都東京で暗闘が行われる物語です。 私はてっきり精神上の暗闘が主なのかと思っていたのですが、銃撃戦ばかりでした。 特殊機関で暗殺術を身に付け、その機関の最高傑作とまで言われた女を綾瀬はるかが演じています。 53人もの各国の政府要人を暗殺した伝説のダーク・ヒロインです。 すでに引退していましたが、昔愛した男の長男に面倒事が起きていることを知り、身に付けた戦闘能力で次々に敵対勢力を殺していきます。 敵対勢力は主に日本陸軍。 これに日本海軍、内務省までもが長男を拉致しようと必死になります。 三者三つ巴で長男を拉致しようと暗闘を繰り広げるのです。 そこで大きな壁になるのがリリーというわけ。 というのも、長男の父親が国家予算の10%にも及ぶ大金を秘密銀行に預金しており、父親が亡くなってしまい、お金をおろすには暗証番号が必要になりますが、これを知っている...
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怪物

今日は映画館に足を運びました。 観たのは是枝監督の「怪物」です。 この映画は小学5年生の息子が教師から暴力をふるわれたと信じ、学校に抗議を繰り返す母親の視点、暴力をふるったとされた教師の視点、小学校5年生の息子の視点の3者の視点から描かれています。 当然、3者の語る話は食い違い、誰かが、あるいは全員が嘘をついているか、事実誤認が起きていることが示されます。 芥川龍之介の「藪の中」(黒沢明監督作品では「羅生門」)と似た構成になっています。藪の中・将軍 (角川文庫)芥川 龍之介KADOKAWA羅生門 デジタル完全版 三船敏郎角川映画 観る者は混乱せざるを得ません。  そして豚の脳を持った人間というフレーズが多用されます。 少年の同級生である親友は同性愛の傾向があり、ガチガチの保守主義者である父親は、同性愛者である息子は豚の脳を持った化け物であり、治療が必要だと信じています。 二人の少年は互いに魅かれあいます。 少年愛の予感が濃厚に描かれます。 ラストでは、二人の少年が明るい朝日のなか、自然豊かな森を笑顔で駆け回る姿が描かれます。 台風の朝に姿を消した二人が生き残って互いを寿いでいるのか、あ...