思想・学問

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親殺し

近年、家族・親族間殺人が、全殺人事件の50%を超えている、という驚愕のニュースを聞きました。 特に多いのが、子供による親の殺害。 理由として、超高齢化社会における老々介護の問題や、20年以上も続く不況、個人主義が広まったことによる家族の絆の喪失などが考えられる、と識者は書いていました。 しかしそれは、表層的な問題ではありますまいか。 現代日本社会において、人を殺すということは、たいへん重い罪であり、まして尊属殺人がことさら重い刑を下されるのは、日本人なら誰もが知っていることです。 それを乗り越えて親を殺害するとは一体どう理解すればよいのか、私にはわかりません。 ましてわが国で発生する殺人事件の半数以上が家族・親族間で行われるとなると、赤の他人よりも家族・親族のほうが怖ろしいということになってしまいます。 なかには、親の資産を担保に勝手に借金を重ね、ついに家が競売にかかる段階となって、自殺を決意した62歳の男が、無理心中を図って90近い母を殺害し、父は殺害にいたらずに生き残り、父が息子を裁く法廷に車椅子で現れ、寛大な刑を希望したという泣けない話もあります。 子ども、特に男の子というものは...
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後悔

人間生きていれば後悔することや反省することばかりですね。 あの時ああしていれば、とか、もうちょっと気をつければ、とか。 このたび指原某がAKB48グループの総選挙で1位になったことを、秋元先生は「後悔している」とだけ語ったそうです。 それは指原某が男性スキャンダルを起こした時解雇しなかったことを指すのか、あるいは博多へ左遷したことを指すのか、あるいは遡って彼女を採用したことを指すのかは分かりません。 しかしお陰様で人気に陰りが見え始めたグループに、再び強烈なライトが当たったことは確か。 さすがに秋元先生、強運の持ち主ですねぇ。 私が後悔していることと言えば、高校進学から始まって大学進学、就職、パートナーの選択と、ほとんど全ての人生の分岐点に取ったおのれの行動に後悔しています。 今住んでいるマンションだけは、立地条件の良さから気に入っていますが。 さだまさしの「主人公」という歌に、たしかに自分で、選んだ以上、精いっぱい生きる。そうでなきゃ、あなたにとても恥ずかしいから、というフレーズがありました。 それはそうなのでしょうが、そうはいかず、ぐじぐじと後悔し続けるのもまた人間。 その時その時...
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鎌倉新仏教

私が日蓮宗の寺で生まれ育ったことは、このブログで何度か紹介しました。 それで、不思議に思っていることがあります。 日本版ルネッサンスと言うべき鎌倉新仏教の様々な宗派がありますが、日蓮宗だけが、宗祖の名前を冠していること。 なんとなく個人崇拝みたいで、嫌な名前だなぁと思ってきました。 また、教理についてもそうです。 道元禅師が開いた曹洞宗は、座禅と公案によって、自力で涅槃にいたろうとするもので、大乗仏教華やかなわが国において、珍しく上座部仏教的な色合いを感じます。 あくまで自力ということが最大の特徴でしょう。 一方、法然上人が開いた浄土宗は、多くの人は自力で涅槃にいたる厳しい修行には耐えられず、また出家しなくても涅槃に至る道を探り、阿弥陀仏の本願にすがり、他力=阿弥陀仏の力によって、広く衆生を救おうとしました。 さらに法然上人の弟子の親鸞上人にいたると、自らを煩悩具足の凡夫と呼び、半聖半俗と称して、少なくとも建前はご法度だった妻帯に踏み切り、しかも宗門のトップを世襲とするという、今のわが国の寺院で多く見られる形態の先がけとなりました。 この浄土真宗は他力という考えを徹底させ、南無阿弥陀仏...
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野心のすすめ?

流行作家の林真理子が「野心のすすめ」なるエッセイを発表し、これがたいそう売れているそうです。 読んでいないので何とも言えませんが、タイトルからして読む気が起きません。 アマゾンのレビューを見ると、大分評価が分かれているようです。野心のすすめ (講談社現代新書)林 真理子講談社 ひどいのになると、著者の単なる自慢話に過ぎない、とこきおろしている者もいれば、感銘を受けた、と感激している者もいます。 賛否両論が分かれるからこそ問題作なのかもしれませんねぇ。 しかし元々のわが国の伝統的価値観から言えば、野心を持つということはあまり褒められたことではありません。 せいぜい明治維新後、クラーク博士が札幌農学校の生徒に「Boys, be ambitious」と発破を掛けたりして、立身出世を良しとする風潮が生まれて後のことと思われます。 また、「少年よ、大志を抱け」と訳されることが一般的ですが、ambitiousという言葉には清廉潔白なイメージはなく、野望とでも訳したほうが原意に近いものと思われます。 わが国では、仏教的価値観から、欲望などの執着を捨て、道を求めることを良しとする風潮が長く続き、今もそ...
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老人学

大阪大学が老人の幸福感についての研究成果を発表しました。 それによると、70代・80代・90代の幸福感をアンケート調査した結果、90代女性が最も幸福感が高いことが分かったそうです。 一方、全年代で最も幸福感が低いのが、45歳男性。 きっと職場で中間管理職として下からも上からも突き上げをくらい、しかもプレイイングマネージャーとして、実務もこなしつつ管理もしなければならないという仕事のしんどさに加え、子どもがちょうど思春期を迎え、親に反抗的になったり、また、奥様とも倦怠期で疎遠になったりといった要素が考えられます。 しかし、45歳を底にして少しずつ幸福感が上がっていくのだすれば、これは朗報ですね。 私も来年の8月には45歳になります。 それが底なら、後は上がり調子になるはずです。 90代女性で幸福感が高いのは、男性の場合、いくつになっても社会的な評価を気にし、思い通りに動かない肉体や頭にイライラするのではないか、との分析がなされていました。 一方女性は、長い人生経験から、少々辛いことがあっても、大したことはない、と笑ってやり過ごすことができるのではないか、とも。 しかし、私は少し違った見方...
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