
超能力
研究機関に勤務していると、時折、一風変わった研究について教えを請いに来る人がいます。 先日は、もう50歳は過ぎているかと思われるおじさんが、研究生として受け入れて欲しい、とコンタクトを取ってきました。 おじさんの独自の研究によると、有史以前、現在の天皇家の祖となった一族が世界を支配しており、それらは古文書からも考古資料からも明らかだ、というのです。 で、私が勤務する機関の文献史学者と考古学者はおじさんを押し付け合い、結局断りました。 でもその話、偽書とされる竹内文書などとそっくりな気がします。 受け売りですかねぇ。 それを横で見ていて、福来友吉博士のことを思い出しました。 明治末期、催眠術の研究によって東京帝国大学で博士号を取得した人で、東京帝国大学という日本最高のアカデミズムの現場で助教授を勤めながら、興味の対象が心理学から超能力に移り、千里眼やら念写やらの研究を始め、超能力者を集めて公開実験をやったりして、明治から大正にかけてマスコミをにぎわせた人です。 しかし、検証実験ではことごとく失敗し、実証性がないと、事実上東京帝国大学を辞職に追い込まれ、その後は私設の研究所でひっそりと研究...