思想・学問

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精神的故郷

先日、亡父の蔵書の中から、久しぶりに小難しい哲学書を読む機会に恵まれました。 ドイツの哲学者、ヤスパースの「歴史の起源と目標」です。 中学生の頃、同じ作者の手になる「哲学入門」というのを読んで、非常に混乱した覚えがあり、それ以来、この作者の著作は敬して遠ざけてきました。 しかしこの「歴史の起源と目標」、なかなかぶっ飛んでいて素敵です。 ヤスパースは、人類はひとつの起源とひとつの目標をもつという信念をもっていました。 起源と目標の間を、わけもわからず漂っているのが人間の歴史だというのです。 これはキリスト教やイスラム教にみられる、天地創造と最後の審判という考え方によく似ていますね。 ヤスパースの素敵な点は、これを一つの宗教の問題ではなく、全人類の問題に敷衍しようとしたことにあります。 そのため、枢軸時代という概念を持ち出します。 紀元前500年頃、世界のあちこちで、互いを知らぬまま、巨大な思想的運動が同時並行的に起きたというのです。 中国においては老子や孔子、インドにおいては釈迦やウパニシャッド哲学、中東においてはゾロアスター教やユダヤ教、ギリシャにおいてはソクラテス、プラトン、アリスト...
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毒杯

ソクラテスというと、どういうイメージを持っているでしょうか。ソクラテスです。 古代ローマの偉大な哲学者、有名な無知の知、青年を惑わした罪で死刑に処せられたことなどなどでしょうか。 ソクラテスより賢い者は存在しない、という神託を知ったソクラテスは、驚き怯えました。 そしてその神託が間違いであることを証明するため、多くの賢者と呼ばれる人々を訪ねては対話を行ったそうです。 その結果、賢者と呼ばれる人たちは狭い知識に拘泥し、自分が知らないことがたくさんあることを認めませんでした。 そこでソクラテスは、「自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知らない人間より賢い」「真の知への探求は、まず自分が無知であることを知ることから始まる」という、無知の知を発見し、神託が正しかったことを知るのです。 しかし考えてみれば迷惑な男です。 突然訪ねて来ては論争をふっかけ、自分のほうが賢いことを確認して去っていくというのですから。 しかもソクラテスの行動はアテナイ市民の間で有名になり、対話を見物に行く若者が後を絶たず、公開試合の様相を呈していったようです。 行動が行き過ぎたのでしょう...
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青木伊平氏の自殺

4月26日というと、私には忘れられない日です。 1989年のこの日、竹下登元総理が退陣表明し、秘書の青木伊平氏が自殺したのです。 享年59歳。 竹下登の金庫番と言われ、若い議員などは青木氏に睨みつけられただけで震え上がると言われたほどの大物秘書でした。 リクルート事件で政界に激震が走るなかでの、突然の自殺でした。 リクルート事件の件もすべてを知っていたとみられ、今でも暗殺説が絶えません。 暗殺とまではいかなくても、親分を守るため、因果を含められての自殺だったのではないかと推測します。 このニュースにふれて、田中角栄の元秘書で、やはり大物秘書と言われた早坂茂三氏が、「かわいそうだなぁ」と繰り返しながら、号泣する姿がテレビで何度も放送されました。 その時、早坂氏は政治評論家という肩書でしたが、秘書がトカゲのしっぽのように切り捨てられる姿をたくさん見てきたんでしょうねぇ。 よく籠に乗る人担ぐ人、などと言って、政治家と秘書の関係を表したりします。 この現代社会において、親分を守るために自殺するという心性を持った人なんて、そうそういないと思います。 封建社会じゃないんですから。 親分の社会的地位...
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単眼

今朝某新聞のコラムを読んだところ、妖怪のことが書かれていました。 その中で私が衝撃を受けたのが、お馴染み、一つ目小僧の由来です。 柳田國男は妖怪を山の神が零落した姿であるとし、「山の神は眇(すがめ)である」という伝承を持つ地域があり、眇は俗に「目が一つ」という言い方をされることから、これも山の神霊を起源とするものであることを示唆しているそうです。 そうかもなぁ、と思って読んでいたら、古代の神の生贄として供された者は、逃げ出さないように片目片足を損じられ、その姿が一つ目小僧の元になったのでは、と書かれており、民俗学に疎い私はびっくりしたわけです。 神様に生きた人間を生贄として捧げるというのはずいぶん乱暴な行為です。 その上生贄に選ばれた者が逃げ出さないように、しかし生活できるように片目と片足を潰してしまうとは、まさしく悪魔の発想ですねぇ。  医学的には、単眼症という症例がまれに見られ、これはいわゆる一つ目だそうです。 よく言われることですが、猛獣よりも幽霊よりも妖怪変化よりも、なにしろ人間が怖ろしいですねぇ。妖怪談義 (講談社学術文庫 135)柳田 國男講談社にほんブログ村 本・書籍 ブ...
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ブラック・デー

韓国でブラック・デーなる行事があることをご存知でしょうか? 私もつい最近知りました。 バレンタイン・デーの一ヵ月後、3月14日がホワイト・デー。 さらにその一ヵ月後の4月14日がブラック・デーだそうです。 これは、バレンタインデー・ホワイトデーのどちらも何ももらえず恋人ができなかった者同士が黒い服を着て集まり、チャジャン麺(麺に黒いあんをかけた料理)やコーヒーなど黒い物を飲食する日、だそうです。  かなり盛り上がりそうですねぇ。 それもやけくそ気味に。 上の写真のような毒々しい色の麺を食って祝う?んだそうです。 三大がっかり名物の一つ、伊勢うどんに見た目が似ていますね。 伊勢うどんです。 どうしてこのような日が出来たか知りませんが、恋人のいない者同士で盛り上がる気色の悪い、いや間違い、素敵な日ですねぇ。 こんな日があったら、私は毎年やけくそ気味に盛り上がれます。 今日はお隣、韓国で多くの寂しい、じゃなかった自由な男女がそれぞれに黒い食い物を食ってはしゃいでるんでしょうねぇ。 うらやましいかぎりです。 わが国にも輸入してほしいものです。にほんブログ村人気ブログランキングへ ↓の評価ボタン...
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