思想・学問

スポンサーリンク
思想・学問

宇宙の幽霊

極小のブラックホールが、宇宙の幽霊のように日々地球を高速で通り抜けている可能性が明らかになったそうですね。 なお、人体に影響はないそうです。 私たちが思い描く、太陽をも飲み込んでいく巨大な質量を持ったブラックホールとはずいぶん違う性質を持っているようです。小さな原子を取りこむことも不可能で、せいぜい原子が極小ブラックホールの周りを回るだけだとか。 しかも最後は放射により蒸発してしまうとか。 そうなると、宇宙の幽霊というよりも、宇宙のカゲロウみたいなものなのかもしれません。 卑近な例ですが、同じイカでも、ホタルイカのような小さなものから、ダイオウイカのような巨大なものまで、ほぼ同じ形状で存在しています。 で、当たり前ですが、ホタルイカは小さな餌を、ダイオウイカは大きな餌を捕食します。 ブラックホールと極小ブラックホールとも、そんなイメージなのかもしれませんね。 極小ブラックホール、毎日この星を通り抜けているとしても、あんまり小さくて目には見えません。 接触しても気づきません。 人間の五感では感じられない存在という意味では、妖怪や鬼、幽霊の類と似ていますね。 自然科学が進歩して神秘主義の領...
思想・学問

観音

2005年公開の映画「オペレッタ狸御殿」、当時劇場で鑑賞して、大いに楽しみましたが、その中で薬師丸裕子が何度も「ねーんぴ、かんのんりーきー(念彼観音力)」と観音経の一部を唱えるのが耳に焼き付きました。 今でも時折、ふとした瞬間に、「ねーんぴ、かんのんりーきー」という間の抜けた声が、ふいに聞こえてくるのです。 要するに観音を心に念じよう、と叫んでいるわけです。 で、念じるとどうなるか。 あらゆる苦しみや苦難が去ってしまうんだそうです。 それほど観音様の功徳は素晴らしい、というのが、観音経(妙法蓮華経観世音菩薩普門品)の教えで、これ、般若心経と並んで日本では最も人気があるお経なんですよねぇ。 私がまず感じたのは、般若心経は短いながら精緻に空の教えなど仏教の深遠な哲理を解説した、理論のお経であること、それに対して観音経は、観音様を念じればその功徳で苦しみから逃れられる、と説いた情緒的な観想のお経である、ということです。 一方で理屈を、もう一方でひたすらな信仰を求めるお経が二つながら人気があるというのは、じつに面白い現象です。 そして現代人の多くは、般若心経に心惹かれるでしょう。 なぜなら般若...
思想・学問

カンヌ国際映画祭事務局の言論弾圧

カンヌ国際映画祭で、デンマーク人の映画監督が、「ヒトラーを理解している。幾分共感も覚える」と言ったことが問題視され、カンヌ国際映画祭事務局は、監督を追放する方針を固めたそうですね。 いやな感じですねぇ。 言論の自由や表現の自由を守るべき伝統あるカンヌ映画祭で、国際社会で悪人とされている人物に同情的な発言をしたからって、追放なんてねぇ。  ロマン・ポランスキー監督なんか、米国で少女強姦の罪により懲役50年以上の有罪判決を受けていたのに欧州に逃亡し、逃げ回っている最中に「戦場のピアニスト」でカンヌ国際映画祭はパルムドールを与えたというのに。  悪人と言えど、人間。 むしろその悪人の精神に思いをいたし、なぜドイツ国民が彼を熱狂的に支持したか、冷静な目で見ることが求められています。 チンギス・ハーンだってナポレオンだってスターリンだって織田信長だって、大量虐殺者にして政治指導者。  国家社会主義(ナチズム)は今でこそ廃れていますが、ヒトラーの時代はむしろ一般的な思想。 わが大日本帝国も、大正デモクラシーで花開いた民主的な社会は、その後の軍人の政治進出によって、実質的に天皇制国家社会主義とでもい...
思想・学問

ホーキング博士

ホーキング博士が英国の某誌のインタビューで、天国も死後の世界も存在しない、と断言したとのニュースを見ました。 見て来たような嘘を言い、とか言いますが、ホーキング博士のそれは見てきたような嘘か、見てきたような真か、どちらなんでしょうねぇ。 どちらにしても、それ言っちゃおしまいよ的な、野暮な発言ではあります。 人間は古来死後の世界を様々に思い描き、今も宗教や文学、哲学などで描き続けています。 そのような人間本来の祈りとも欲求とも言うべき死後の世界の存在に対する願望を、おのれの信念だけで存在しないと断言するなど、傲慢の謗りを免れません。 ホーキング博士が教会と折り合いが悪いのも当然でしょう。 正しい答えは、天国や死後の世界が存在するかどうかわからない、ということでしょう。 ついでに言えば、わかりようがないことには口出しせず、黙っていればいいのです。 闇の世界を怖れる人のおとぎ話、とまで言ったとか。 死後の世界や天国を存在しないと断言することは、闇を怖れることを知らない無鉄砲な人のおとぎ話というべきでしょう。 要するに存在の証明も存在しないことの証明もできない頼りない話。 ただ私は、死後の存在...
思想・学問

霊性

震災から二カ月以上過ぎて、なんとなく不思議に思うことがあります。 被災した方々が宗教に期待していないというか、関心がないというか。 昔から苦しい時の神頼みといいますよね。  多分欧米などだったら、廃墟と化した教会に集まってお祈りしたり、アラブ人だったらメッカの方を向いて膝まづいたりするのでしょう。 慰霊祭などで僧侶がお経をあげていれば手くらい合わせるのでしょうが、自然と宗教的感情が高まってくる感じがしないんですよねぇ。 大自然の猛威に触れ、家族や友人が犠牲になり、人間の無力をいやというほど思い知らされたとき、神であれ神々であれ如来であれアッラーであれ、何か人智を超えたものにすがりたくなるのが人情ではないでしょうか。 以前、このブログで、世界保健機関(WHO)では、肉体的・精神的・霊的に充足している状態を健康とよぶ、と定義しており、霊的という言葉は宗教的と意訳したほうがよい、と書きました。 しかし震災が起きてみて、日本人は基本的に霊的にも宗教的にも充足を求めていないのではないかと感じます。 日本人の多くは、時と場合によって、仏教徒のようにふるまったり、神道信者のようにふるまったり、クリス...
スポンサーリンク