思想・学問

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世界の終わり

世界の終わりという観念には、どこか人を浮かれさせる要素がありますね。 一種のスペクタクル願望ですかね。 阪神淡路大震災や太平洋戦争末期のような、本当に世界の終わりかと思うような悲惨な状況が発生した場合はそんな浮ついたことは言っていられないでしょうが、観念の遊びとしては面白いと思います。 平安時代に末法思想が流行ったのも、わくわくするような観念の遊びであったことでしょう。 江戸時代末期のおかげ参りやええじゃないかも、古い時代の破滅を予見した庶民が浮かれ騒いだというのが実態ではないかなと思っています。 「12モンキーズ」では、ウィルス学者が、世界中を旅して猛毒のウィルスをばらまいて回るオチがついています。 ウィルス学者は本気で人類絶滅を実行したのです。 その時のウィルス学者の慈愛に満ちた微笑みが印象的です。 彼は言わば、人類を苦しみから解放しようとしていたのでしょう。 私の職場の先輩で、もう定年退職して5年になるじいさんと時折飲むのですが、「若い頃は歯痛に悩まされたけど、今は歯が一本もないから楽だ、歯なんてあるから痛いんだ」と言っていました。 それを敷衍すると、人間は存在するから苦しいんだ...
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TFT 思考場療法

昨夜書店を冷やかしていたら、変わった本を見つけました。 森川綾女という心理カウンセラーの「ツボ打ちTFT療法 漢方と科学を融合して心身をリセット」と「たった2分で心がスッキリする『体のツボ」』」です。 TFTというのは、Thought Field Therapyの略で、思考場療法と訳されていました。 これはある米国の心理カウンセラーが、水恐怖症の患者を治療するなかで、「水を考えるだけで胃が痛くなる」という患者の言葉を聞いて、たまたま漢方を学んだことがあり、胃は経絡では目の下がツボだと思いだし、患者に指で目の下をトントンと数十秒押させたところ、胃痛が収まるどころか、水への恐怖そのものが劇的に軽快した体験をきっかけにして生まれた療法だそうです。 このカウンセラーはその後10年間何千人もの患者に、色々なツボを押す治療を試みて、ついに簡単で誰にでもできるツボ押しの技法を完成させ、今ではイラク戦争でPTSDとなった兵士の心のケアや、災害にあった人々の治療に役立てているそうです。 日本では、新潟中越地震の際、被災者にTFTのやり方を書いた冊子を配布し、一定の効果を得た、とのことです。 日本でも一部...
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情報整理への欲望

パソコンが普及してからというもの、パソコンを起動しない日はなくなってしまいました。  ただの道具であるパソコンが、これほど多くの用途に使われるのは驚異的です。 文書作成だったり表計算だったりメールだったりインターネットだったり動画だったりゲームだったり、各種ソーシャル・メディアだったり。  そのなかで検索ということに関しては、Googleの巨大さは突出しています。 Googleは世界の情報を整理する、という掛け声のもとに、驚くべき検索エンジンを築きあげました。 単にあるページに関連の言葉があるかどうかという基準だけではなく、そのページがどれだけの人にリンクしているかを瞬時に見分け、多くの人がリンクするものは良いものだと言う前提のもと、たちどころに検索を終えてしまいます。 情報整理への欲望と言っても良いものです。 そしてその巨大過ぎる欲望は、私たちに畏怖を起こさせます。  そのような欲望に取りつかれた人は、昔からいました。 そういう人々は、昔であれば巨大な図書館を作り、日々情報を蓄積して巨大化させ、しかも整理分類して情報を求める者にたちどころに渡して見せる、という離れ業に自己陶酔してきま...
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引きずりださないで

病気休暇から抜け出して、9ヶ月目に入りました。 最近私が気になるのは、引きこもりと呼ばれる人たちです。 私も病気休暇の最初の頃は、ほぼ引きこもりだったわけですから。  内閣府の調査では、現在70万人の引きこもりがおり、予備軍は155万人いる、と推計しています。 これは驚愕の数字ですね。 しかもこの内の多くは親元で暮らし、親の収入で食っているわけです。 甚だしきにいたっては、60代の引きこもり男性が90代の親の年金で暮らしているとか。  私は休職していた間、給料をもらっていましたし、定期的に職場と接触し、復職へのロード・マップがありました。 それでも、このまま良くならないんじゃないか、とか、もう退職したほうがいいんじゃないか、とか、もう十分に生きたからそろそろ楽になろうか、とか、負の感情に支配されることがしばしばでした。  それを思うと、無職で十年も二十年も自宅に引きこもっている人の心境は、察して余りあるものがあります。 きっと家族や親類、ご近所から心ない言葉をかけられることもあったでしょう。 また、マスコミなどが偏見に満ちた報道をし、傷つけられたことも数知れないでしょう。 毎日が長く、...
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恋愛は利己的?

某有名女子大学の心理学の講義で、恋愛は本質的に利己的である、という命題についての討論が行われたそうです。 冒頭、この命題の是非について尋ねたところ、是とする者が9割、非とする者が1割だったとか。 この討論に参加した女子大生の圧倒的多数が恋愛は本質的に利己的である、と感じていたわけです。 好きになるのも自分の都合、告白するのも自分の都合、プレゼントを贈るのも相手に好かれたいという自分の都合、自己犠牲的な行動にでるのも相手に好かれたいという自分の都合。 すべての行動が自分の利益にかなうかどうかで行われている、というわけです。 なんか、元も子もないというか、ずいぶん冷めちゃってますねぇ。 若い女子大生ならもう少し恋愛に夢や希望を持っても良さそうなものですが。 この論法を使うと、あらゆる行為が利己的になっちゃうんですよねぇ。 キリストが磔になったのも、己の信念を貫きたい、という自分の都合。 特攻隊員が志願したのも自国の戦局を有利にしたいということと、英霊として祀られたいという自分の都合。 自殺するのも憂き世から逃れたいという自分の都合。 でもこれ、なんか違和感を感じます。 わずかでも利己的な感...
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