
世界の終わり
世界の終わりという観念には、どこか人を浮かれさせる要素がありますね。 一種のスペクタクル願望ですかね。 阪神淡路大震災や太平洋戦争末期のような、本当に世界の終わりかと思うような悲惨な状況が発生した場合はそんな浮ついたことは言っていられないでしょうが、観念の遊びとしては面白いと思います。 平安時代に末法思想が流行ったのも、わくわくするような観念の遊びであったことでしょう。 江戸時代末期のおかげ参りやええじゃないかも、古い時代の破滅を予見した庶民が浮かれ騒いだというのが実態ではないかなと思っています。 「12モンキーズ」では、ウィルス学者が、世界中を旅して猛毒のウィルスをばらまいて回るオチがついています。 ウィルス学者は本気で人類絶滅を実行したのです。 その時のウィルス学者の慈愛に満ちた微笑みが印象的です。 彼は言わば、人類を苦しみから解放しようとしていたのでしょう。 私の職場の先輩で、もう定年退職して5年になるじいさんと時折飲むのですが、「若い頃は歯痛に悩まされたけど、今は歯が一本もないから楽だ、歯なんてあるから痛いんだ」と言っていました。 それを敷衍すると、人間は存在するから苦しいんだ...