思想・学問

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二卿事件

「龍馬伝」やら「坂の上の雲」やら、最近幕末から明治にかけてのドラマがよく放送されます。 やることなすことうまく行ったあの時代を懐かしんでいるかのようです。 しかし一歩間違えれば列強の食い物にされ、植民地としてばらばらに統治されていたかもしれません。 細い綱を渡るように、慎重に前に進んだことでしょう。 私が子どもの頃から不思議に思っていたことがあります。 京都に東を付けると東京都。 本家が京都なのは論を待たないところです。 しかも平城遷都や平安遷都と異なり、江戸に都を移し、東京と名称変更する、という宣旨なり法律なりがないのですよね。  明治元年に明治大帝が東京に行幸され、一度京に還幸された後、翌明治2年にふたたび東京に行幸、それ以来、京へ行くのは還幸ではなく、行幸と呼ぶようになりました。 京都御所はうっちゃって、江戸城跡を皇居にして、各種省庁、国会、軍司令部などを東京に固めて、いつの間にやら東京が首都になっちゃった、という状況が、今日にいたるも続いています。 しかも和歌を詠んだり蹴鞠をしたり、寺を作ったり、といった日本文化の中心であった天皇が、東京移住とともに大元帥陛下におなりあそばし、...
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ポアンカレ予想とドグラ・マグラ

単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である。 有名なポアンカレ予想です。 1904年にアンリ・ポアンカレが予想して以来、多くの数学者がこれを証明しようと躍起になってきました。 なかにはのめり込みすぎて精神に変調をきたした数学者もいるとか。 怖ろしいことですね。 この謎を解いたのが、ロシアの数学者グリゴリ・ペレリマン(41)。 その功績により、数学界最高の栄誉とされるフィールズ賞の受賞が決まりましたが、彼は受賞を拒否し、数学の表舞台から消え去ってしまいました。 彼は何を見てしまったんでしょうね。 人間の能力を超える業績をのこした時、そこからこの世で見てはいけないものが見えてしまい、隠居したり、自殺したり、精神病に成る人がいますね。 彼もその類だったのでしょうか。 解こうとすると気が狂うのがポアンカレ予想なら、読めば気が狂うと言われたのが夢野久作の「ドグラ・マグラ」ですね 謎が謎を呼び、ぐるっと回って元に戻る、不思議な構成で、私は楽しみました。 私は根っからの文系人間で、数学などは大嫌いですが、数式で会話する数学者同士を見ると、格好いいなあ、と憧れます。 国文学の世界で、著名な数学...
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全体

詩人、江南文三は戦時中、「法華経」をわかりやすい現代語に訳した「日本語の法華経」という書物を発表しています。 噛んで含めるようなわかりやすい訳で、これなら誰でも「法華経」を簡単に勉強できるのではないでしょうか。 さて、その前文に、第二次世界大戦(江南文三は大東亜戦争と記しています)の意義について書かれた一文があります。 それは今次大戦が全体主義国家と個人主義国家との戦争である、と。 全体主義は社会全体のことを考え、個人が犠牲になるのもいとわない生き方で、個人主義は自分さえよければよく、社会全体のことなどどうでもよい、という生き方なので、全体主義のほうが上等であり、必ず全体主義側が勝利しなければならない、と説いています。 これを読んだとき、びっくりしましたね。 私が歴史を学んだのは、米ソ冷戦時代。 全体主義を称揚するような言説に触れたことはありませんでした。 しかしおそらく、全体主義がよい、というのは多くの国民に支持されていたのでしょう。 だからこそ政治家でも政治学者でもない詩人が、宗教書の前文に全体主義の勝利を望む一文を寄せたのでしょう。 そう考えてみると、現在ある制度の中では比較的マ...
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デザイナー・ベビー

最近出生前診断とやらで、胎児のうちに遺伝的な病気や障害の有無がかなりの程度まで判定できるようになり、そのために異常がみつかった子を堕胎する例が増えているやに聞きました。 さらには着床前診断というのがあって、受精卵のうちから遺伝子情報により、将来の遺伝病などのリスクが分かるとか。 その場合妊娠しないという選択肢があり得ます。 障害児を育てる可能性が高いと分かった時、親が堕胎の判断を下してしまうのも理解できますが、なんとも嫌な感じです。  ナチス・ドイツが行った優生学思想に基づく精神障害者や同性愛者の大量虐殺を思い出します。 2000年、ノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈博士は、教育改革国民会議で、いずれは就学時に遺伝子検査を行い、それぞれの子供の遺伝情報に見合った教育をする形になって行くだろう、と言って物議を醸しました。 これは要するに遺伝的要素だけでエリートを選別し、特別な教育を受けさせようということで、ナチの優生学思想と根本で通じるものです。 古くはプラトンも「国家」で、優秀な男女を結婚させて優秀な子どもたちを支配階級として教育し、その他大勢は支配されるがままになる羊たちの幸福を与え...
思想・学問

私は八年ほど前に緑内障と診断され、毎日眼圧をさげる目薬を打っています。 幸い治療のおかげで半年に一度の視野検査結果をみても、八年前から症状は進行していません。 元々はひどい疲れ目で眼科を受診したのですが、そのとき思いもかけず緑内障が発見されました。 あのとき眼科に行って良かったと思っています。 一方疲れ目は相変わらずです。 パソコン仕事が多いのと、人よりまばたきの回数が少ないため、目が乾きやすいためで、気休めに涙の成分でできた目薬を処方されただけで、改善にはいたっていません。 目というと、目は口ほどに物を言い、とか、目が点になる、とか、目をむく、とか、白眼視とか、色々な慣用表現がありますね。 一方精神病の世界では人の視線が気になる視線恐怖とか、自分の視線が気になる正視恐怖とかがあって、目が人に与える印象は強烈です。 例えば他人をにらみつければ何も言わなくても敵意が伝わり、目が笑っていれば心を許すでしょう。 オッドアイと呼ばれる左右で色が違う目を持った人がいるそうですね。 有名人では奥菜恵がそうらしいです。 だから「呪怨」や「シャッター」などのホラー映画で使われるんでしょうかね。 オッド...
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