思想・学問

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今日は9月7日。 7という数字は、洋の東西を問わず、特別な数とされてきました。ラッキー7などと言いますね。 まず西洋。ピュタゴラス学派は、人間は七つの天界の惑星に支配されていると説き、一週間を7日と定めました。キリスト教では、7つの大罪が定められています。これを元にした頭脳明晰な連続殺人犯の狂気を描いた名作「セブン」が製作されました。 次いで東洋。北斗七星が人間の運命を司るとされました。また、諸葛公明は病気平癒に祈祷のために、7×7=49人を選び、7日間、お祈りさせたと聞いています。 そして本朝。歌舞伎の変身は七変化。カラスの子は7つ。7歳までは神のうち。陰陽師安部清明を祀る清明神社には、大きな北斗七星の紋が飾られています。楠正成は七度生まれ変わって朝敵を滅ぼさんと、天に誓いました。お葬式も、初七日、そして四十九日と、7にまつわる法要を営みます。七福神に春の七草。 ざっと思いついただけでも、7が特別な数字であろうことが予想されます。 7は素数ですが、キリスト教社会はかつて神が作った完璧であるべき世界に素数が存在することはおかしいと考え、素数の存在を一部の学者や宗教家を除き、庶民に隠蔽し...
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引きこもり

政府が新卒採用について、卒業後3年まで新卒扱いにしろ、と各業界に圧力をかけましたね。 新卒の幅を広げただけで、新卒ばかり採用する慣行には手をつけませんでした。 最近の調査で、引きこもりの平均年齢が30歳を超えたことが判明しました。 理由は二つ。 一つは十代から引きこもってたやつが十年以上引きこもっていること。 二つは就職したものの、仕事になじめなかったり、途中で病気になったりするやつが増えたこと。 他人事ではありません。 私も就職して15年目に精神疾患を発症し、長いこと仕事を休みました。 幸い職場復帰できましたが、中年引きこもりになっていたかもしれません。 老親の年金を頼りに引きこもっていた40代半ばの引きこもり男性が、親の死をきっかけに収入が途絶え、ホームレスになってしまった、という話を聞きました。生活保護を申請すればよさそうなものですが、役所で色々聞かれるのがいやで、役所に行っていないそうです。 豊川市では、引きこもり歴15年の30歳の男が、4月、父親にインターネットの接続を解約されたことを恨んで両親、弟、義理の妹、姪を次々に刺して家に火を放つ、という凶行に及びました。父親と姪が亡...
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奇妙

私はこの頃、世の中のなにもかもが奇妙なものに思えてしかたありません。 物語というのは、化け物が出てきたり、むやみに人が死んだり、現実にはあり得ないような熱い恋愛がくり広げられたりします。 物語の親ともいうべき神話は、奇妙な話のオンパレードです。 美術も、ガラクタとしか思えないようなものを並べたり、ディスプレイを並べて点滅させたり、奇妙です。 科学というのも、宇宙空間を光の速さで移動すると時間の流れが遅くなり、地球に帰還すると浦島太郎状態になるとか、異次元の存在とか、奇妙な説を展開しています。 サラリーマンが行っている仕事も、たいして良くないものをさも素晴らしいもののように宣伝して売りつけたり、儲かってもいないのに書類上のカラクリで儲かっているようにみせかけたり、死ぬほどどうでもいいことをがん首そろえて話し合い、半日つぶして結局継続審議になったり、上司の下手くそなゴルフをナイスショット、とか言って手を叩いて喜んで見せたり、なんだか奇妙です。 文学者にいたっては、古典の写本で新しい発見があり、どこが違うかと言ってたった1行、けりがなくて体言止めだ、とか言って大騒ぎしたり、考古学者は自分で遺...
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神(かむ)ながら

ニュースは民主党代表選挙のことばかりですね。  代表選を戦うお二人が、心底国を憂えていることは確かなんでしょうが、なんとなくサル山のボス争いに見えてしまうことは民主党にとって不幸なことです。 国を憂えるといえば、そのものずばり、「憂国」という小説がありました。  三島由紀夫の作品です。  国のためにテロを決行した仲間である青年将校を討つよう命じられた軍人が、それを潔しとせず、妻との濃厚な濡れ場の後に切腹する話で、じつはほとんど国を憂える情は描かれていません。 むしろ下手な官能小説よりもエロ度は上でしょう。18禁にしたほうがよいかもしれません。 一方、「英霊の聲」という作品があります。 こちらは特攻で亡くなった飛行機乗りをはじめとして、2.26事件の青年将校など、三島由紀夫が英霊と考える荒魂を神主が依代となって招き、昭和陛下へのうらみつらみを並べたてる、という話です。  文学作品としてはほとんど破綻していますが、それこそ英霊が乗り移ったかのごとき三島由紀夫の筆の冴えは、気味が悪いほどです。  「などてすめろぎは人となり給いし、などてすめろぎは人となり給いし」、と英霊たちが怨嗟の声を上げな...
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脱自(ekstasis)

昨日41歳になり、私はあらためて来し方を振り返ったのでした。  実際に存在する私(existence)は、死に向かう一方通行の時間に閉じ込められながら、死に向かう時間を忘れて、あるいは無視して日常の雑事にかまけています。そこにあるのは、ハイデガー言うところの対象化された私です。 様々な日常との関係性のなかで生きている私とも言うべきでしょうか。 ハイデガーは、非対象化した生き方、脱自(ekstasis)を求めます。  これは理論としては面白いですが、実際には無理でしょう。ekstasisは恍惚とも訳され、性的絶頂の意もあります。  三島由紀夫は「絹と明察」という小説で、以下のように簡略に説明しています。 自己から漂い出して世界へ開かれて現実化され、根源的時間性と一体化する。 また、和泉式部の和歌に、 もの思へば 沢の蛍もわが身より あくがれ出づる魂(たま)かとぞ見る という、魂が遊離した恍惚状態を歌ったものがあります。 いずれも脱自(ekstasis)ですね。 私はこれらのことを知識として知りながら、やっぱり対象化した私でしか、生きられません。 また、同じ歌人の歌に、 冥きより 冥き道に...
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