
破滅
世界の破滅という観念は、どこか人を浮かれさせるようですね。 私は少年時代、よく世界の破滅を夢想して、独り、悦に入っていました。 前世紀末、ノストラダムスの予言に浮かれてみたり。 平安貴族は末法の世を恐れたり。 ナチは「我々は世界を焼き尽くす」と豪語してみたり。 核戦争が起きて世界が破滅する物語は引きも切りません。 ところが最近、中年になって、またもや、世界の破滅を夢想するようになりました。そのスペクタクルに遭遇してみたい、と。しかも、自分ひとり、生き残るつもりなのです。馬鹿馬鹿しいことですね。 精神病による妄想と言ってしまえばそれまでですが、私の夢想は、もっと切実なのです。