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文学

トンデモドクター、大活躍

昨夜は冷酒をちびちびやりながら、デブで幼児のように天真爛漫な精神科医、ドクター伊良部が活躍する、「空中ブランコ」を楽しみました。空中ブランコ (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋 以前読んだ「イン・ザ・プール」の続編です。イン・ザ・プール (文春文庫)奥田 英朗文藝春秋 伊良部総合病院の跡取り息子、伊良部先生は一風変わった精神科医。 総合病院の暗い地下の診察室で、患者を待ち構えています。 患者が来ると、まずはビタミン注射。 打つのはミニスカートに胸の開いた白衣を着たクールなナース。 伊良部医師、注射を打つのを観るのが大好きな注射フェチなのです。  某サーカスで空中ブランコのエースを張っていた男が、失敗を積み重ねるのを苦に来診したり、ゴールデングラブ賞の常連の名野手が暴投ばかりするのに苦しんだり、恋愛小説のカリスマが創作に悩んだり、それぞれに深刻な悩みを抱えて伊良部先生の元を訪れますが、伊良部先生は能天気。 しかし逆説的な方法で結局は解決してしまうところをみると、伊良部先生は名医なのかもしれません。 ユーモア小説とはかくあるべし、というような、愉快な短編集です。 自分の悩みは深刻でも、他人の苦...
文学

嗤う

最近お気に入りの奥田英朗の小説を読みました。 「最悪」です。最悪 (講談社文庫)奥田 英朗講談社 町工場の社長、20歳のチンピラ、銀行に勤めるOLの3人の物語が交互に綴られ、大団円に向かって一つの事件に繋がっていくというミステリーです。 この作者、ユーモア小説からミステリーまで、幅広い守備範囲をお持ちで、しかも読みやすい文体で豊かなストーリーを紡ぎだせる稀有な才能をお持ちのようです。 誠に羨ましいかぎりです。 かつて小説家を目指していた私は、長いこと古典以外の小説を読むことが出来ませんでした。 嫉妬してしまうからです。 しかし長い精神障害のトンネルを抜けて、やっと素直に現代の優れた小説を楽しむ心の余裕ができました。 それは多分、諦めなんていう生易しいものではなく、私の人生が精神的に大きな転換を迎えたためだろうと思っています。 精神障害に対する差別はなお根強く、この先職場で出世する見込みはなく、小説家目指して大博打を仕掛けるタイミングはとうに失いました。 客観的には、堅い仕事に就いて、結婚もし、マンションも買いと、望む物は全て手に入れたように見えるかもしれません。 しかし主観的には、私は...
その他

ビノス貝

今日は朝から三ヶ月に一度の視野検査でした。 眼圧を下げる目薬が効いているようで、緑内障は進行していませんでした。 まずは安堵。 午後は入院中の同居人のお見舞いに行きました。 手術して3日目、ようやっと、点滴が外れ、なるべく歩いたほうが良いとのことで、院内を歩きました。 歩くといっても、まだ傷口が痛むらしく、牛歩の歩みでしたが。 早くもあさってには退院し、自宅療養にうつります。 帰路、ガソリンスタンドに寄って給油し、ついでに洗車機をかけました。 洗車後、水滴をタオルでふき取る作業をしていたら、どっと汗が噴き出しました。 今年の暑さは尋常ではありません。 帰るなり、水のシャワーを浴びました。 今時分は水道の水もぬるいようで、いっそお湯よりも心地よく感じたところをみると、普段汗をかかないしわ寄せが出ているようです。 少し運動でもしましょうか。 私が運動なんて、我ながら笑っちゃいますが。 蛤と風味がそっくりで、蛤よりも格段に安くて大きいというビノス貝なるものを購入しましたので、酒蒸しを作って見ようかと思います。 ヤリイカの刺身も買ったので、一人晩酌を楽しむといたしましょう。 盛夏、独りで杯をか...
文学

ララピポ

昨夜は水割りをちびちびやりながら、小説を楽しみました。 奥田英朗の「ララピポ」です。 対人恐怖症のフリーライター、NOと言えないカラオケボックス店員、AV・風俗専門のスカウトマン、デブ専裏DVD女優のテープリライターなど、社会からはみ出した人々の日常を同時並行的に描き、最終章に至って全員の人生が交差する群像劇です。 このようなスタイルの物語はわりあいたくさん見られます。  職場で学校で、あるいは趣味で、多くの人々と出会い、人生が一瞬といえども交差するわけですが、その瞬間に至るまで、私たちは同時代を並行して、互いを知らぬまま生きてきたわけです。 袖触れ合うも他生の縁、と申します。 たとえ電車で隣り合っただけでも、何らかの縁があるということですから、友人になったり同僚になったり、さらには恋人になったり結婚したりするというのは、よほどの縁なのだろうと思います。 「ララピポ」は、軽く読める楽しい作品でありながら、そういった人の縁について考えさせられる力を持った小説でした。 ララピポって何のことかと思っていたら、作中、外国人が東京の印象を、a lot of peopleと述べ、ネイティブが発音す...
その他

手術成功

昨日、同居人の卵巣摘出手術が無事終わりました。 1時間半の予定が、2時間半もかかり、どうなることかと気をもみましたが、終わってみればどうということもありません。 手術後、医師から説明を受け、見たくもないのに摘出した卵巣を見せられました。 中には油にまみれた髪の毛がびっしり詰まっていました。 こんなものを腹に入れて生活していたのかと思うと、ぞっとします。 病名は卵巣嚢腫から卵巣奇形腫に変わりました。 卵巣は人間を作る臓器なので、何にでもなることができ、勝手に髪の毛になったり歯になったりすることがよくあるそうです。 要するに「ブラック・ジャック」のピノコと同じ理屈ですね。 全身麻酔ではないので、手術室から出てきた段階で同居人の意識ははっきりしており、開口一番、「生還しました」と微笑みました。 彼女が見せる最高の笑顔で、私は心の底から嬉しくなりました。 今日の夕食からお粥が食べられるそうです。 「腹減った」を口癖のようにしていた同居人には、待ち遠しいことでしょう。 どうやら私は、同居人に心底惚れていたようだと、結婚17年目にして、初めて気づきました。
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