数日かけて、亡父の蔵書の中の一冊、谷川健一の「魔の系譜」を読みました。
著者は民俗学者ということですが、内容はエッセイ風の読み物でした。
ここ数日の間にアップした「犬神憑き」・「東北」・「隠れキリシタン」は「魔の系譜」を読み進めるうちに触発されて書いたものです。
亡父はこの世ならぬものへの理解がなく、憑きものだとか魔だとかいうものを毛嫌いしている風でしたので、こういう書物が出てきたことに驚いています。
むしろ私がそういう物への傾斜を深める姿を危惧しているように感じていましたから。
「魔の系譜」は、わが国の怨霊や物の怪、古代の信仰や呪術などを多角的な視点から描きだした興味深い書物です。
でも多分、学者の間では評判が悪いんじゃないかなと思いました。
論文ではないし、当然論理構成は破綻しており、著者の思い入ればかりが鼻につきました。
どこかセンチメンタルな感じが、若書き、を思い起こさせました。
でも書かれた当時の年齢をみてみると、40代後半で、けっこうおっさんなのですね。
後に谷川健一は、この系統の論文を多く物すことになります。
私のような民俗学の素人には、気楽に読める興味深い書物でした。
![]() | 魔の系譜 (講談社学術文庫 (661)) |
谷川 健一 | |
講談社 |
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