「城」もしくは「恋の罪」

映画

 今日はなんとなく、休暇を取りました。

 お休みと言えば、DVD鑑賞。

 園子温監督「恋の罪」を鑑賞しました。

 園子温監督といえば、長尺で人間の暗部を抉り出す作品で知られていますね。
 「恋の罪」も2時間24分の大作でした。

 代表作「冷たい熱帯魚」では、大型熱帯魚店の社長で、いかにも人の良さそうなおじさんが、欲のためにはどこまでも冷酷になれる姿を描いて私を震え上がらせました。



冷たい熱帯魚 [DVD]
吹越満,でんでん,黒沢あすか,神楽坂恵,梶原ひかり
Happinet(SB)(D)

 

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 「愛のむきだし」では、不思議で奇妙な世界観が提示され、私をうならせました。

愛のむきだし [DVD]
西島隆弘,満島ひかり,安藤サクラ,渡辺真起子,渡部篤郎
アミューズソフトエンタテインメント

 

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 「ヒミズ」では、純真な少年少女が堕落する姿を切ないまでに冷酷に描いて私をして落涙させました。

ヒミズ コレクターズ・エディション [DVD]
染谷将太,二階堂ふみ
ポニーキャニオン

 

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 そして、「恋の罪」

 この作品では、流行作家の貞淑な妻、大学教員、刑事ら、世間的には堅いと思われている立場の女たちが、あるいは不倫に狂い、あるいは多くの男を求めて売春を繰り返す姿が冷静かつ冷酷な演出で描き出されます。



 女の性の奥深さ、狂おしさを描いて余りありませんが、見方が一面的に過ぎるように感じました。
 日々を生きる女たちが、そうそう肉欲に囚われてばかりいる訳ではありますまい。

恋の罪 [DVD]
水野美紀,冨樫真,神楽坂恵
Happinet(SB)(D)

 

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 男性である園子温監督の妄想あるいは願望が含まれているようです。

 大学で国文学を教える女性教員は、言葉の本質は肉体にあると捉え、それを実感するために夜な夜な格安で売春行為に溺れます。

 流行作家の貞淑な妻は、平穏な日常に飽き足らず、女性教員に導かれるままに、肉欲の世界に溺れるのです。

 そして、殺人事件を追う女刑事は、夫の後輩との不倫に溺れます。

 怖ろしいばかりの強い肉欲の持ち主たちです。

 女性教員は女子高生の頃、父親に恋をして肉体を求めますが、父親は、カフカ「城」を手渡し、

「人は城の入り口を求めて彷徨う。しかし誰も城の入り口にたどりつけない。今、私がお前の城になってしまったようだ」

 と、言う謎の言葉を発し、それがために女性教員は「城」の意味を求めるために堕落していくのです。 

城 (新潮文庫)
Franz Kafka,前田 敬作
新潮社

 激しく好悪が分かれる作品だと思いますが、長尺の大作をぐいぐいと見せる力技には感服しました。

 それにしても園子温監督の作品群は重たくて少々疲れます。

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