猛暑の日曜日、幽霊画を多く集めた夏らしい展示を観に、東京藝術大学美術館に出かけました。
お目当ては、「うらめしや 冥途のみやげ」展です。
千葉市の自宅から上野までは約40キロありますが、道が空いていて、上野公園地下駐車場まで40分ほどで到着。
まずは洋食の老舗、黒船亭で昼をしたためてから、歩いて美術館を目指しました。
およそ800メートルほどですが、炎天下の熱行で、えらく遠く感じました。
企画展示の入り口は、まるでお化け屋敷のように暗く、おどろおどろしい雰囲気を醸し出していました。
幽霊画というのは大きく二つに系統が分かれるようで、ほとんど美人画のように美しいものと、おそろしく薄気味悪くてグロテスクな絵が展示されていました。
ほとんどがガリガリに痩せてお歯黒をつけた女の絵ですが、円山応挙の幽霊は、頬がふっくらして少女のようであり、恐怖を駆り立てる類のものではありません。
それにしても、怪談話や幽霊画でぞっとし、ヒヤッとして涼しくなるなんて、ずいぶん悠長な話ですね。
むしろ悪い汗をかいてよけい不愉快になるのではないかと思いますが。
今は冷房がありますから、怪談だの風鈴だの打ち水だの、ほとんど気休めとしか思えない方法で涼をとる必要がありません。
今日は浅黄色の夏の着物にパナマ帽といういでたちで出かけましたが、上野公園のあたり、けっこう和装の若者を見かけました。
最近若い人の間で着物が密かなブームになっているという話は本当のようです。
もっとも、ほとんどは浴衣で、私のような夏の着物を着用した者はみかけませんでしたが。