お国訛り

思想・学問

 私は就職と同時に東京から千葉に来たのですが、まず驚いたのは、房総弁というか千葉弁というか、千葉県独特の訛りです。
 千葉県は東京都と隣接していますし、高校や大学には千葉から通っている友人がたくさんいて、みな、訛りはありませんでした。
 しかし千葉市よりさらに東京から離れると、明らかな訛りがあるのです。
 例えば、おっぺす
 なんだか分かりますでしょうか。
 押す、という意味です。
 あがっべおーはどうでしょう。
 風呂などから上がりましょうという意味です。
 語尾にだっぺをつけたり、だおーをつけたりします。
 東京方言で語尾につけるところのに当たるものと思われます。

 日本は狭いながら地方色が豊かで方言も色々です。
 一時、共通語の普及が方言を駆逐するような言われ方をしましたが、むしろ今は、テレビタレントなどが出身地の方言を使うことで人気を博したり、バラエティー番組でさまざまな方言を取り上げたりして、方言は地域文化の代表というイメージがあります。

 弘前大学の言語学者が全国をくまなく調べたところ、いつも共通語を使う人は11%、いつも方言を使う人は15%、残りの74%は場所や状況によって共通語と方言を使い分けているそうです。
 また、高齢者と高校生との方言の使用状況には特に差はなく、方言は決して共通語に駆逐されていないようです。
 とくに関西や四国、九州などの西日本では方言を誇りに思う人が多かった、とのことです。
 わけても京都ネイティブの京都弁に対する愛着と東京弁に対する嫌悪は顕著だとか。
 私としては皇族方には京都に住んでいただき、京言葉で優美にお話しいただきたいと思っています。
 
 東京で一人暮らしをする東北出身の大学生は、アンケート調査に対し、帰郷して何よりうれしいのは思いっきりお国ことばで話せることだとか。

 そういえば石川啄木にそんな歌がありましたね。

ふるさとの 訛りなつかし停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく

 
方言には郷土愛と郷土の文化の保存という意味があり、またその地域にしか見られない自然や習慣を表わす言葉が豊富にあるように思います。

 今、東京方言に近い言葉が共通語ということになっていますね。
 東北の人と沖縄の人がお互いに方言で話したらコミュニケーションが困難になりますから、共通語というものは必要ですが、方言の持つ味わい深さを大切にしたいものです。
 私も東京方言に加えて、千葉方言をマスターしたいものです。
 勉強するだっぺおー。

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