ご隠居

精神障害

 私が最初にうつ病を発症したのは、平成16年の4月でした。
 
 就職して14年目のことです。
 私はそれまで、自分はストレスに強く、うつ病になど絶対に罹患しない、という変な自信みたいなものを持っていました。
 
 それが愚かな思い込みであることを痛感させられました。
 
 平成16年は服薬しながら一年間出勤しました。
 出勤前に泣き、帰りの車の中で泣き、体は石のように重く、それまで難なくこなしていたあらゆる仕事が、極めて困難なものに感じられました。
 それでも、病気休暇をとるという考えは浮かびませんでした。
 それで病状を悪化させたのだと思います。
 
 翌平成17年の8月から平成18年1月まで休んで職場復帰しました。
 休んでいる間も、自分が休んでいることで同僚が迷惑している、自分は嫌われている、という激しい自責の念が消えることはありませんでした。
 希死念慮も強く、リビングをぐるっと見まわしては、どこに縄をつるそうか、と考えることがしばしばでした。

 平成18年4月に今の職場に異動してきて、最初は好調だったのですが、12月28日から7月24日まで、繰り返し上司から暴言を受け、またおかしくなってしまいました。
 しかも上司に謝罪と補償を求める弁護士とのやりとりの間に躁転してしまい、今度は双極性障害(躁うつ病)と診断されました。
 
 このときは劇躁で、金を浪費し、性的逸脱行為、過食嘔吐もあり、今思うとあれこそ狂気の沙汰でした。
 劇躁の時は医師から出勤を禁じられました。
 暴力的な行動にでる恐れがあったようです。
 
 しかし躁のときは元気そうに見えるので、親類から病気なんて嘘じゃないの、という主旨の発言を受けて落ち込んだりしました。

 去年の五月に復帰して、今思うのは、なんだかご隠居みたいだなぁ、ということです。
 あと定年まで19年もあるのに困ったものです。
 なんだか自分と目の前の仕事や現実の生活との間に薄い膜が張ってあるような感じで、なんとも頼りないのです。
 ご隠居気分で働くには19年はあまりに長いですが、いずれは部署も変わるでしょうし、そうしたらそんな優雅なことは言っていられないでしょうから、今のご隠居気分を楽しみたいと思います。

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