菫程(すみれほど)の 小さき人に 生まれたし
夏目漱石の春の句です。浮世を忘れて、小さな人になって、すみれと無邪気に戯れたい、という厭世観が読み取れます。変身願望といってもよいでしょう。
私は今、毎日リワークプログラムというのに通って、職業訓練をうけています。就職して18年もたって、なにを今更職業訓練か、という忸怩たる思いもあります。
しかし人間は、すみれほど小さくもなれないし、突如精神の健康を取り戻すこともできないのです。薄皮をはがすように、少しづつ、しかし着実に回復しなければなりません。
リワークプログラム自体は、意外にも楽しいものです。しかし、そこに通わなければならない私が、悲しいのです。