ちょうど、親のように

精神障害

   早いもので、私が精神障害を発症してから12年が過ぎました。

 35歳の4月にうつ病を発症し、しばらくは通院しながら出勤を続けていたものの、36歳の8月についに病気休暇に追い込まれ、その時は半年ほど休みました。
 その後38歳と40歳の時それぞれ9か月病気休暇を取り、40歳の5月に復職。
 その後は順調に回復し、7年以上、少なくとも自覚的には再発することなく、出勤を続けています。
 今も月に一度、精神科に通院し、服薬を続けていますが、もう治ったつもりでいます。

 私は当初激しいうつ状態に見舞われ、うつ病と診断されました。
 その数年後、今度は、金遣いが荒くなる、怒りっぽくなる、寝なくても平気、万能感等の躁状態に襲われ、診断は双極性障害(躁うつ病)に変わりました。
 最初うつ病と診断され、後に双極性障害に診断が変わることはよくあることなのだそうです。

 私の場合は問診によって診断が変わったわけですが、最新の機器では、あるテストを行って脳波の形を調べると、同じうつ状態でも、いわゆるうつ病患者と双極性障害の患者では全く違う波形を示すことが判明しているそうで、うつ状態の中にあっても、双極性障害患者はあくまでも双極性障害のうつ状態であることがわかっているそうです。

 人間の精神というもの、持って生まれた性向からは逃れられないということで、なんだか不思議な感じがします。

 長く精神障害と付き合って、ある疑問を持つようになりました。
 精神科医は、表面的には患者の治癒を望みながら、心の奥底で、いつまでも患者でいてほしいと思っているのではないか、と。

 患者というのは、医師にとって、いわば顧客です。
 顧客がいなくなれば、医者といえども客商売である以上、上がったりです。

 そんな露骨な金銭的理由だけではありません。

 先生、先生と言って頼ってくる患者は、精神科医にとって可愛い存在なのではないでしょうか。

 ちょうど、反抗期を迎えたわが子に接し、幼児の頃は可愛かった、成長などしなければ良いのに、と思う親のように。

 そんなことは考えすぎなのかもしれませんが、ふと、そんな疑問を抱かずにいられないのは、私が治ったつもりでいるからだろうとは思っています。
 ただし、うつ病はきれいに治っちゃうことがよくあるのに対し、双極性障害は基本的に一生、予防的な意味で服薬を続けなければいけない病気なのだという説明は受けています。

 そうは言っても喉元過ぎれば熱さを忘れるという如く、今、全然病識がないのに、通院・服薬というのはずいぶん億劫です。 

 これからもずうっと精神科に通院するとはなんとも面倒くさい話です。

 もっとも、いくら病院通いをしてもよくならず、何十年も精神病院に入院している患者の苦痛を思えば、どうということはないのでしょうけれど。 


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