今日から6月。
すっかり日が長くなり、帰宅時でも明るくて、なんとなく良い気分です。
サマータイム制を導入しようという声が上がるのも、さもありなむと言ったところです。
しかしサマータイム、ある日突然時計を一時間早くするわけですから、体がそれについていかず、体調を崩す人が多いと聞きます。
今までどおりゆるーくやっていけば良いでしょう。
日が長いということは、当然ですが夜が短くなるということ。
短い夜というのは、なかなか風情のあるものです。
夜為事(よしごと)の あとの机に置きて酌ぐ ウヰスキイの杯(こぷ)に 蚊を入るるなかれ
大酒飲みだった若山牧水の歌です。
夜の仕事の後といっても、外はうっすら明るいんでしょうね。
日本酒のイメージが強い牧水ですが、洋酒も嗜んだようです。
何となくユーモアを感じる歌ですね。
みじか夜の いつしか更けて 此処ひとつ あけたる窓に 風の寄るなり
これも牧水の歌です。
私は前の歌に続いて読もうと思います。
ウィスキーをしたたか飲んで横になり、深夜に目を覚ますと開けた窓から入ってくる風が心地良い、といったところでしょうか。
ウィスキーで火照った肌には涼風がよけいに心地よく感じられたことでしょう。
みじか夜には、慌ただしい男女の営みを象徴する意味合いも感じられます。
みじか夜の まことをしるや 一夜妻
正岡子規の句です。
生涯童貞だったという噂の子規ですが、吉原あたりで粋な花魁と一夜を過ごしたんでしょうか。
まことをしるや、とはちょっと無粋な感じがしますが、一方で異様な迫力を感じますね。
私は夏場はエアコンなしでは寝られない体になってしまい、みじか夜の風情を楽しむ間とてありませんが、せめては古人の句や歌で、それを偲んでみようと思うのです。
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