アイヒマンといえば、ナチのユダヤ人収容所所長で、長く逃亡していましたが捕えられ、裁判で自分は命令に従っただけであり無罪である、と主張した人物です。
世間では極悪非道の冷酷漢とされていますが、当時のナチの将校が果たして国の政策に人道的見地から反対することが可能であったかといえば、極めて困難で、私がアイヒマンの立場にあれば躊躇なくユダヤ人を虐殺したでしょう。
DVDで「私の中のアイヒマン」を観ました。
ある女子高の演劇部が、「アンネの日記」を演じるにあたって、当時の過酷な状況を体験するため、OGである女優の指導のもと、収容所の所長、兵隊と、捕虜に役割を決め、ロールプレイを一週間行うという心理サスペンスです。
いわゆるアイヒマン・テストを地で行ったわけです。
女子高生たちは役割にのめりこみ、狂気に突入していきます。
7人の女子高生とOG、演劇部顧問の女性教師の、女性しか登場しない華やかな映像が、醜くゆがんでいきます。
アイヒマン・テストの当然の帰結です。
人間が役割を与えられると、驚くべき適応を示します。
地位が人を育てる、とか言われるやつです。
高い地位につけば偉そうに、低い役割であれば卑屈になります。
職場でも、無能だが態度ばかり大きい管理職をたくさん見てきました。
じつは下っ端で偉そうという人もけっこういるのですが、これは責任がなく、将来にわたって責任ある地位に就くことを拒否した場合、大抵そうなります。これが最も厄介なのですが、最近私がこうなりつつある感じでまずいです。
いや、トップから慰謝料と謝罪文を分捕った時点で周りはそう思っているでしょう。
やれやれ。
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