老人の性を描いた小説といえば、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」とか、川端康成の「眠れる美女」とか、筒井康隆の「敵」とか、優れた作品が多くあります。
一つには、老人といえど性欲があって、ところが世間は老人の性を忌避する傾向があり、そこを逆手にとると興味深い物語が生まれるのでしょう。
私もあと30年もすれば、これら秀作の本当の面白さが分かるかもしれません。
先日、72歳の無職男性が小学校五年生の女児の尻を触ったとかで逮捕されたそうです。
世に小児性愛者というのがいて、例えば「鏡の国のアリス」などで著名なルイス・キャロルは老人になっても小児しか興味を持たなかったと伝えられています。
これは誠に不幸なことですね。
私のストライク・ゾーンは20代半ばの健康な女性で、おっかなくない人ですので、世間的にはまったく面白くない性癖で、下着などにも全く興味がありません。
まして強姦など不可能です。
目の前で必死で抵抗されたら、使える物も使えなくなってしまいます。
おそらく世の中の大多数の男性はそうでしょう。
私のような趣味嗜好を持っていると、恋愛沙汰に陥っても、風俗遊びをするにしても、たいへん楽です。
世間が認知している男性の性欲を体現しているからです。
しかし、これはたまたま。
私が少数者しかいないアブノーマルな趣味嗜好を持っていたところで、全く不思議はありません。
そう思うと、憎むべき性犯罪者に、奇妙な同情を禁じ得ません。
彼らは自らの意思でそういう趣味嗜好になるべく努力したわけではありますまい。
おそらく、気が付いたら小児にしか興味が持てなかったり、生身の女より下着やハイヒールに異常な関心を示したり、痴漢や盗撮でスリルが忘れられなくなったり、強姦で泣きわめく女性を征服したくなったり、甚だしきにいたっては、同じ男相手でないと昂奮しなかったりするわけです。
彼らの趣味嗜好は遺伝子の異常なのか、生育環境によってもたらされたものなのか、それとも何らかの理由があって、神の見えざる手によって、一定の割合で存在するようにプログラミングされているのか、全く不明です。
ただそういう趣味嗜好の人々がある程度存在し、彼ら自身が、おのれの欲求に悩んでいるであろうことは確かです。
そしておそらく、性の嗜好というのは、矯正不可能でしょう。
例えば私に、小児を相手に性交に及べといわれても、物理的に不可能です。
性の嗜好の矯正というのは、そういうことです。
願わくば妄想の世界でのみ、犯罪行為とされる性の嗜好を昇華させてほしいものです。
それが難しいことは、私にノーマルな性行為を禁じるがごときことだと思えば、明白ではありますが。
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