アンフォルメル

美術

 今日は日本橋のブリジストン美術館に足を運びました。
 お目当ては「アンフォルメルとは何か?」展です。

 アンフォルメルとは、戦後パリで起こった前衛芸術運動で、ダダイズムシュールレアリスムの系譜を継ぐものです。


  しかし私には、その抽象を超えた芸術が、もう一つぴんときませんでした。
  なんというか、アンフォルメル以前の、ピカソダリの絵画は、それを描かずには入られない、という強い欲求があって、自分が一番の自分の絵のファン、という感じが前面に出ているのですが、アンフォルメルの作家の絵は、何か奇抜なことをやってやろう、という強迫観念のようなものに動かされている感じがするのです。

 現に、今日観た絵ではアンフォルメルが起こるずっと以前、印象派全盛の頃に神話や聖書から題材をとった幻想的で浪漫的な絵を描いたギュスターブ・モロー「化粧」に最も魅かれました。
 
モローの「化粧」です。
 私は「化粧」の前に一時間も立ち尽くしました。
 その間、何度も絵画の女のスカートの裾が風にあおられたように私に迫ってきて、私はそれをとらえようと両手を出し、その手は空を切ったのです。
  私は幻覚を見たのでしょうか。
  それにしては変にリアルでした。
 
 アンフォルメルの展覧会に行って最大の収穫がアンフォルメルからみたら時代遅れで古臭いモローの絵だったとは、私もよほど酔狂と見えます。

ギュスターヴ・モロー―絵の具で描かれたデカダン文学 (六耀社アートビュウシリーズ)
鹿島 茂
六耀社
ギュスターヴ・モロー―夢を編む画家 (「知の再発見」双書)
Genevi`eve Lacambre,南条 郁子
創元社
アンフォルム―無形なものの事典 (芸術論叢書)
Yve-Alain Bois,Rosalind E. Krauss,加治屋 健司,近藤 學,高桑 和巳
月曜社

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしいすごいとても良い良い