アンポ、ハンタイ

社会・政治

 今日で新安保条約が成立してから53年が経つそうですね。
 岸信介首相がより平等な条約を目指して成立し、今の日米軍事同盟となりました。

 当時は学生などが激しい反対運動を繰り広げたらしく、岸首相の孫の安倍総理は、当時幼児で、意味も分からず「アンポ、はんたい」と叫びながら岸邸を走り回っていたそうです。
 おじいちゃんもこれには苦笑いするしか無かったようです。

 今では日米軍事同盟に異を唱える人はほとんどいなくなりましたが、当時は米国の戦争に日本が巻き込まれる、と本気で心配した人が大勢いたようです。

 それでもこの時の安保反対運動は、まだ穏健なものでした。

 1960年代末から70年代初頭の学生運動は、あさま山荘事件に象徴されるように、内ゲバによる殺人や、武装闘争など、とても一般庶民にはついていけない過激な運動に変貌し、それがゆえに国民の支持を失い、事実上、左翼運動は消滅しました。

 その後1980年代終わりにはソビエト連邦が崩壊、東欧の共産国家も続々と民主化し、20世紀後半を恐怖に陥れた共産主義は崩壊しましたね。

 不思議なのは中国。
 1989年の天安門事件は、ソビエト崩壊などと連動した動きだと思われますが、レッド・チャイナはこれを武力で鎮圧。
 内情はともかく、今も共産主義を標榜しています。
 北朝鮮もそうですが、今後共産主義を名乗る国家が生き残る道は存在しないだろうと思っています。

 時計の針を逆に戻すことは不可能で、共産主義は20世紀の遺物として、今では価値がないどころか、有害な思想ということになってしまったのですから。

 問題は、中国のごとき、経済的、軍事的、人口的に巨大な国家が、どうソフト・ランディングできるか、ということ。
 中国内部が激しい混乱に陥れば、世界に与える悪影響は甚大にならざるを得ません。

 もともと中国人は時の政府に対して大人しい人々ではありません。
 何度も王朝が入れ替わり、近代においても義和団の乱や辛亥革命、共産革命、文化大革命など、何度も争乱を起こしてきました。

 権力は無いながら支配装置としての権威だけはある天皇を後生大事に守り続け、革命と呼べるのは明治維新くらいしか経験が無いわが国とは根本的に異なる人々です。

 だからこそ、レッド・チャイナの権力者は民衆を怖れ、弾圧するのでしょう。

 100年遅れの行動原理で動く異形の大国が今後どうなるのか、隣国であるわが国は重大な関心を持って見守らなければならないでしょう。

 そしてもし、かつての大日本帝国がそうであったように、太平洋を挟んで対峙する米中の対立が激化し、米国が中国を叩く覚悟を決めた時、米中の戦いは避けられないでしょう。

 もちろん、今の中国に米国とまともに戦う力はありませんが、最初から中国本土への上陸を許し、広大な国土の奥へ奥へと逃げながらゲリラ戦を仕掛けたら、人命が重い米国は簡単に勝利を収めることはできず、泥沼の総力戦に突き進み、ついには60年安保に反対した人々が懸念したように、わが国は米国の戦争に巻き込まれるでしょう。

 しかし、日米軍事同盟があればこそ、現在のように70年近い平和を享受できたのもまた事実。

 わが国としては、米国が本気にならないことを祈るばかりです。
 そしてもちろん、中国の挑発的行動が偶発的な戦いに発展しないことも。


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