イン・ザ・プール

文学

 名医なんだか藪なんだかよく分からない精神科医のもとを訪れる人々を描いた連作短編集「イン・ザ・プール」を読みました。

イン・ザ・プール (文春文庫)
奥田 英朗
文藝春秋

 伊良部総合病院の跡取り息子、伊良部医師は精神科医。
 しかしそこを訪れる患者はほとんどいません。
 伊良部医師はデブで色白で不潔感漂う中年男。

 そこに、平凡な不定愁訴から、世にも珍しい起ちっぱなしに苦しむ陰茎強直症のサラリーマン、世の中の男がみなストーカーに思ってしまうモデル、携帯依存症の高校生などなどの患者が登場し、可笑しいやら切ないやら、楽しいユーモア小説集に仕上がっています。

 伊良部医師の活躍を描いた続編に「空中ブランコ」という作品集があるようなので、そちらも読んでみようかと思います。

空中ブランコ (文春文庫)
奥田 英朗
文藝春秋

 いやぁ、笑いました。
 喜劇は精神に良いようです。