ウサマ・ビン・ラディン殺害

社会・政治

 ウサマ・ビン・ラディンがパキスタンの首都、イスラマバード郊外で米国の諜報機関によって殺害された、との一報が飛び込んできました。
 生け捕りにしたかったところです。
 殺害されたことによって得られなくなった重要情報がどれだけあるかと思うと、残念です。

 サウジアラビアの富豪の家に生まれ育ち、潤沢な資金をテロ活動につぎ込んだ悪逆非道のテロリスト。
 しかしかの地では、彼とタリバンを神の軍隊として崇め奉っている人々も少なくないとか。
 そういう人々にとってヒトラーはユダヤ人絶滅を図った英雄ですが、彼らに言わせるとヒトラーは仕事を完遂できなかったのが残念だ、ということになります。
 ナチにひどい扱いを受けたユダヤ人。
 江戸の敵を長崎でとばかり、ユダヤ人はパレスチナ人を始めとするアラブ社会に過酷な政策を続けています。
 因果はめぐるのですねぇ。

 ウサマ・ビン・ラディンの闘争は、当初ソビエトのアフガニスタン侵攻をきっかけとして始まりました。
 その後湾岸戦争で母国サウジアラビアが米国の側に着いて戦うにいたり、過激な反米思想を持つようになったと言われています。
 9.11テロをはじめ、数々の爆弾テロを成功させてきた、史上最強にして最悪のテロリストでした。

 今後テロはますます増えるでしょう。
 大物テロリストの命を奪った以上、報復攻撃は執拗かつ徹底的で、しかもそれは継続するでしょう。

 私たち日本人にとっても人ごとではありません。
 わが国は米国の同盟国の中では、核兵器こそ持っていませんが、最強の通常兵力を持っています。
 テロリストから見れば、日本は米国と密接に結びついた標的の一つであることは間違いありません。

 米国はイスラム社会と戦っているのではない、と言い訳しますが、敵がイスラム社会の一部であることは間違いなく、いつ果てるとも知れない宗教をめぐる戦争は、21世紀全体を暗く彩っています。

 手っ取り早い解決の方法は存在せず、粘り強い交渉しか手はありませんが、相手が利益や人命を度外視した過激な戦法や要求を採るのなら、それを押さえつける巨大な軍事力を駐留させ続けるしかありません。
 しかし人命が重い米軍は、長く、散発的な戦いを何年にもわたって続ける忍耐力はないでしょう。

 9.11テロの首謀者を殺害したのは良いとして、今後ますます混迷を深めそうな中東情勢、困っちゃいますねぇ。

 でも私は、砂漠の国の殺し合いがなくなることよりも、今日と明日、心穏やかでいられることを望んでいるのです。

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