東京を舞台にしたフランス人兄妹の自堕落な生活を描いた「エンター・ザ・ボイド」を鑑賞しました。
新宿歌舞伎町と思しき町でアパートを借り、二人で暮らすフランス人の兄と妹。
兄は麻薬の売人を、妹はナイト・クラブでストリッパーをして暮らしています。
この兄というのが、ガリガリに痩せたいかにもな麻薬中毒です。
兄と妹は幼い頃、指をナイフで切って互いの血を混ぜ、絶対に離れない、と誓い合った仲。
世界一照明が多く、幻想的だから、という理由で東京を舞台にしたらしいですが、現実の東京とはまた違った、幻想世界のとある町、といった風情です。
映像が頻繁に変わり、それは兄の麻薬による幻覚であったり、ヤク中仲間の幻覚であったりします。
麻薬取締りの際、兄は警官によって撃ち殺されてしまいます。
それでも妹と交わした誓いが忘れられず、この世に留まる兄。
そこから先は、時制も目線も、何が何やら分からない、原色の幻想世界が繰り広げられます。
ジャンキーを主人公にした映画では、英国の「トレインスポッティング」が印象に残っています。
もうぼろぼろの若者ヘロイン中毒患者が、なんとか抜け出そうとして抜け出せない、それなのに変に陽気で明るい印象を受けました。
「リトル・ミス・サンシャイン」という、ブサイクでおデブの少女が美少女コンテストに出場するため家族でオンボロのバンに乗って米国を旅するコメディの中で、不良でヤク中のおじいちゃんが、「麻薬は年寄りがやるもんだ、若い者は体を大事にし、どんどんセックスしろ」と言い放つシーンがあります。
これは一面の真理を突いていて、ありとあらゆるこの世の快楽を貪った後、老い先短くなってから、最後に麻薬に手を出し、新しい喜びを知るというのも、悪くありません。
末期がんにでもなったら、ありとあらゆる麻薬を試してみましょうか。
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