グッド・ドクター 禁断のカルテ

映画

 海辺の病院で繰り広げられる研修医、マーティンの日常がある患者との出会いによって狂っていくさまを描いたサスペンス「グッド・ドクター 禁断のカルテ」を鑑賞しました。

 海は青く空も青く、マーティンが住む高級アパートも青と白だけ。
 その空の青、海の青、壁の青がどこまでもスタイリッシュで、こんな町の研修医がなにをとち狂ってしまったのかと思います。

 研修医マーティンは腎臓の感染症で入院してきた10代の美少女、ダイアンを担当することに。
 ダイアンはマーティンに全幅の信頼を寄せ、どうやら好意まで持っている様子。
 医師として冷静に治療するマーティン。
 しかしダイアンが退院してしまうと、寂しくて仕方ありません。
 そんなある日、ダイアンの退院を祝うため、マーティンはダイアンの家にディナーに招かれます。
 その家の洗面所にダイアンの薬のビンが置かれているのを発見し、カプセルの中身を砂糖と入れ替えてしまいます。
 そして再入院。
 マーティンはこっそり点滴にも仕掛けをほどこし、ダイアンの入院を長引かせようとします。
 しかしそれはやりすぎで、ダイアンは若い命を、しかも自分の治療を阻害しているマーティンへの信頼を持ったまま、散らせてしまうのです。

 悪事は露見することなく、むしろ難病に熱心に立ち向かった研修医、患者を亡くしたことへの自責の念に耐えるけなげな研修医ということで、病院スタッフの間ではマーティンの評判が上がりさえするのです。

 何か怪しいと思った薬物中毒の看護士はダイアンの日記を手に入れ、マーティンが眠っている(と思われた)ダイアンにキスをしたことが書かれていることから、倫理委員会にちくるぞ、と脅します。
 報酬は薬物。
 医師なら処方箋を書けばいくらでも薬が手に入るだろう、というわけです。
 マーティンは薬物の中に青酸カリを混入させ、看護士を毒殺してしまいます。
 しかし看護士はもともと薬物中毒だったことから、悪い売人から売りつけられた薬でキメタんだろうということになって、マーティンに累は及びません。

 いつ悪事が露見して、捕まるんだろうと思わせておいて、結局彼は優秀な医師としてのキャリアを歩んでいくのです。

 理不尽な真っ黒い、狂気の研修医は、どこまでも爽やかな笑顔で、青い画面を大活躍します。
 ストーリーの陰惨さと正反対の明るい太陽と海の青、空の青のコントラストが見事です。

 あんなになんでもうまくいったら人生楽しいでしょうねぇ。
 でもきっと自分は万能だと勘違いして、思わぬところでつまづくのでしょう。
 そう思わなければ、あんなやったもん勝ちみたいな話は許せません。

 そうはいっても、映像美といい、美少女の患者との淡い恋といい、うまくできていると思いました。
 つくづく人間は多様な面を持っているものだと思います。
 看護士を毒殺したその犯人が、医師として、人の命を救っているのですから。

 観て損はない映画だと思います。

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