コリン LOVE OF THE DEAD

映画

 製作費45ポンド(約6,000円)という驚異の低予算で作られた逆転のゾンビ映画、「コリン LOVE OF THE DEAD」を昨夜鑑賞しました。

 これまで、ゾンビ物と言われるジャンルの映画はあまた作られてきましたが、ゾンビの視点から描かれた作品は初めてじゃないでしょうか。

 死者が甦り、人を襲い、襲われた人は死んでしばらくすると、ゾンビとして甦り、人を襲う、という正統的な設定(最近はゾンビ・ウィルス感染者で、死者ではない、というゾンビ映画が多い)。
 うようよいるけど動きは緩慢で、数に圧倒される、というパターンも正統的。

 しかし決定的に違うのは、主人公コリンが冒頭、ゾンビに噛まれてゾンビになってから、人肉を食いたいというゾンビの本能に従いながらも、地獄と化したロンドンの街を彷徨い、恋人と暮らした家を目指す、というゾンビ目線で作られていること。
 ゾンビの目から見ると、人を食いたいという本能を持ちながらも、人は様々な武器で武装した恐るべき殺戮集団に見えます。

 化け物を主人公にした映画では、化け物の悲しみを詠うことが定石ですが、今作もそうした作りになっています。
 ゾンビと言っても、もとは人間。
 妻や子がゾンビになったら、なんとか助ける道はないものかと模索するのは、人情の自然。
 コリンにわずかばかり残った人間的な記憶や感情が、彼を突き動かします。
 人間の反撃にあって、顔を半分失ってなお帰りたい我が家。
 帰り着いた我が家で待っているのは、ゾンビですらなくなった恋人の遺体。
 ゾンビになった彼女にとどめを刺したのは、コリン本人だったのです。
 コリンが恋人の遺体の横に茫然と座るラストは、なんとも悲劇的です。
 
 ホラー映画にはロマンティック・ホラーというジャンルがあって、幻想的で美しいホラー映画というのはたくさんあり、むしろそれらがホラー映画の王道ですが、ゾンビ物はグロさを競うような所があって、私はあまり好みません。
 しかし、「コリン LOVE OF THE DEAD」は、初めての美しく切ないゾンビ物と言えましょう。

コリン LOVE OF THE DEAD スペシャル・エディション [DVD]
アラステア・カートン,デイジー・エイトケンズ,タット・ウォーリー
Happinet(SB)(D)

にほんブログ村 映画ブログ ホラー・サスペンス映画へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしいすごいとても良い良い