久しぶりにJホラーの秀作を観ました。
ハロプロのアイドルユニット、Buono!の3人が主演ということで、アイドルを売り出すための平凡な学園ホラーなんだろうなと思って観たら、大違い。
うれしい誤算でした。
コアなホラー・ファンである私が久しぶりに本当に怖いと思ったのですから、そこらの中高生がみたら、ちびっちゃいますよ。
Jホラーの新しい金字塔と言っても良いでしょう。
「ゴメンナサイ」というのです。
タイトルにすでに仕掛けがあるわけですが、それは最後まで観れば分かります。
いきなりBuono!の3人が出てきて映画製作のきっかけを語り始めた時はドン引きしましたが、ストーリーが始まってみると、引き込まれました。
女子高生が学校で起きた怖ろしい事件を私小説風にまとめ、それを携帯小説としてインターネットに流した、ということで、最初から、本当にあった事件なのかも、と思わせます。
そう思った時点で、もう負けです。
映画は三部構成です。
まず、起こった事件が客観的に語られます。
いじめられっ子でがり勉の少女が、文化祭用の脚本執筆を命じられ、呪いを込めた脚本を書き上げたあたりから、不穏な空気が漂います。
その脚本を読んだ者は、次々と呼吸器の変調により死亡。
いじめられっ子は、その暗い性格から親からも疎んじられている上、若年性のがんを患って余命幾ばくもないということで、この世を呪っているのです。
この小説の作者で作家志望の少女が、言葉のリズムや雰囲気、言葉そのものの持つ魔力によって、いじめられっ子が殺人を犯していることに気付きます。
それは読むと死ぬ小説から、読むと死ぬ脚本、ついには数行の意味不明の文章を作り上げ、それを読むだけで死に至るという、言霊を逆手に取った恐怖のたくらみなのです。
それを止めようとして巻き込まれていく作家志望の少女。
イジメの首謀者だった少女が殺され、いじめられっ子も死んだ時、話は終ったのかな、と思わせます。
次にいじめられっ子から宅急便で作家志望の少女に送られてきた日記の内容が紹介されます。
そこにはイジメに苦しみ、家族関係に苦しみ、がんにまで苦しめられる少女の心象風景が語られ、それはしだいにゆがんだものなっていく様が、息苦しいほどの迫力をもって迫ってきます。
これはほとんど人生の苦悩を描いた純文学です。
そして3部。
作家志望の少女は三年生に進級し、新たな気持ちで学校生活を送っているところ、新たな悲劇が始まることが、その少女の視点で語られます。
きっかけは、一年前に送られてきた呪いのメール。
彼女はそれを未読フォルダに置いたまま、削除せずにいたのです。
それを、学校の伝説となった事件にいたクラスの生徒だということで、新しい友人たちに話をせがまれ、話したところ、呪いのメールを見せろといわれ、携帯を取られて読まれてしまうのです。
しかも、その画面を作家志望の少女の目の前に見せつけ、見てはならぬものを見てしまいます。
当然起こる新たな悲劇。
しかも今回は、作者本人もターゲットの一人。
必死で助かる方法を考える作者。
そして、その方法とは・・・。
発想、映像美、恐怖、テンポの良さ、どれをとってもA級の素晴らしい作品に仕上がっています。
ホラー・ファンならずとも、映画好きなら必見の一作です。
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