今日はこの前の土曜出勤の振替でお休み。
久しぶりに9時ちかくまで朝寝を楽しみました。
起きてテレビを付けると、サイレント・プアを扱った番組がNHKで放送されていました。
シングル・マザーでパートの収入だけでは食っていけず、熟女専門のデリヘルで働いているという41歳の女性。
でも完全歩合制のため、しかも平日の昼しか働けないため、日によっては無給だったり、6千円程度しかもらえなかったり。
昔の吉原で言うお茶っぴきですね。
昔吉原の女郎は客がつかないと、お茶をひいて内職したことから、人気が無い女郎の蔑称になっています。
サイレント・プアというのは、生活保護費以下の収入しかなく、生活保護を申請すれば受けられる可能性が高いのに、世間知がなかったり、生活保護を受けることを潔しとせず、沈黙を守っている女性のことを指すようです。
公立図書館などでは7割ちかくが非正規雇用だそうで、二ヶ月ごとに退職させられ、一週間ほど休んでまた同じ職場に就職、ということを繰り返している人が大勢いるそうです。
二ヶ月を超えると長期雇用とみなされ、様ざまな福利厚生が職場に義務付けられることから、これを嫌っての措置だとか。
6ヶ月連続して働かなければ有給休暇ももらえず、ボーナスも出ないため、ぎりぎりの生活にならざるを得ないとか。
もちろん、そういう働き方をしているのは、旦那がしっかり稼いでくる専業主婦が小遣い稼ぎをしているとか、実家に寄生して生きる独身女が、自分の小遣いくらいは自分で稼ごうという人が多いのは確かなようです。
私の職場でも、小泉改革以来、派遣職員や契約職員が激増し、正規雇用が激減しました。
彼女たちは三年を超えて働くことは許されません。
三年を超えれば、彼女たちが希望すれば正規雇用への道を開かなければならないからです。
職場は安い賃金で人を雇いたいわけで、どんなに優秀で仕事熱心でも、三年経てば辞めて行きます。
もったいないかぎりです。
みな仕事熱心で有能なのに。
よく文句も言わずにしんどい仕事に耐えているものだと感心します。
私の職場の職員構成を考えれば、それら非正規の職員の力によって運営されていると言っても過言ではありません。
番組ではメールで寄せられた意見がいくつか紹介されていました。
その中で、かなり厳しい意見がありました。
サイレント・プアなど単なる甘えに過ぎず、死ぬ気で職を求めれば必ず見つかるはずで、ようするに楽そうな仕事をえり好みしているだけだ、と言うのです。
もちろんそういう人もいるでしょう。
しかし、これは小泉構造改革がもたらした社会制度の変化によって引き起こされた問題で、個人ではなく、社会的問題であると私は考えています。
件の改革以来、職場の人間関係はギスギスしたものになり、人情味が無くなりました。
口を開けば金の話ばかりで、学術研究機関としての崇高な使命を忘れてしまったかのごとくです。
規制を緩和し、努力した者が報われる社会を築くと言っていた小泉構造改革。
しかしもたらされたのは、貧困や格差など、社会的弱者をさらに追い詰めるような社会でした。
この世は理不尽なもの。
努力したから報われるというわけではなく、制度の隙を突いて小ずるく立ち回った者が富を得、真面目に地道に働く者が馬鹿を見るというのはいつの時代も変わりません。
また、病気になって働けなくなったり、専業主婦を何十年も続けてきた奥様が突然夫を失って働かなければ成らなくなったり、世の中は複雑に出来ています。
それを規制緩和して新自由主義的な政策を打てば解決するかのような幻想をふりまき、しかもそれに国民が熱狂したことは、あまりに不幸なことでした。
バブル崩壊以降、わが国は長い低迷の時代の中で苦しんでいます。
この低迷を打破するには、派手な政策ではなく、小さな問題を一つ一つ解決していく、気が遠くなるような作業が必要だと、実感したしだいです。