ザ・クロスーエクソシストの闇ー

映画

 昨夜はホラー映画というよりキリスト教神学をあつかった哲学的な映画「ザ・クロスーエクソシストの闇ー」を観ました。

 スウェーデンの神父、ヘンリク。
 最近亡くなった母親の幻影に悩まされる彼に、同じ神父である父親が亡くなったとの連絡を受け、父が亡くなった地に向かいます。
 地獄は存在しない、というスイスの教会が打ち出した教義を信じていたヘンリクは、父の死の秘密を知り、父が暮らしてたという暗く寒々しい森の瘴気にあてられ、地獄の存在は疑いようがない、と考えを変えるにいたります。

 寛容を旨とし、何事も許すことこそがキリスト教の根本であると信じていたヘンリクは、キリスト教が異教を敵視し、血で血を洗う抗争を繰り広げていたことに思いを致すとともに、詩篇21に、キリスト教が持つ根源的な厳しさ、敵を憎み懲らしめずにはおかない残虐さを思い知ります。

 そしてラスト、彼は教会での説教で、キリスト教の残虐な真実を語ろうとし、途中で信者から引きずりおろされてしまいます。
 皮肉にも、信者は自ら、違う考えを持つにいたった神父を許さず、汚い言葉で罵ることによって、キリスト教の持つ非寛容と残虐性を証明してしまったのです。

 スウェーデンの寒々しい風景と、因習的な森の家族のたたずまいが、良い感じに雰囲気を盛り上げています。
 しかし内容があまりに神学的に過ぎ、時に応じて檀家になったり氏子になったりクリスチャンになったりする、宗教的に大らかな日本人には、ちょっと理解できません。

 なぜ彼らは二言目には善だの悪だの、神だの悪魔だのと、堅苦しいことを言うんでしょうね。

 この世に絶対的なものなど存在せず、すべては流れ変化していく相対的なものだ、という感覚を身に付けた私たち日本人にはちょっと不思議な感じがします。

 もう少し肩の力を抜いて、冷静にキリスト教以外の宗教や思想に目を向けたらいかがでしょうねぇ。

 なお、サブタイトルにエクソシストの闇、とありますが、ここでは悪魔祓い師という意味ではなく、神父を指す別名のようです。
 悪魔祓いのシーンは一切ありませんので、ご注意を。

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ジョナス・マルムシェー,ペール・ラグナー,ニコラス・ファルク,ユーリア・ダフヴェニウス
ケンメディア

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