午後のひと時、DVD鑑賞を楽しみました。
ホラーと銘打っていましたが、内容はダーク・ファンタジーと言うべき「ザ・ダーク」です。
ニューヨークで暮らす思春期の娘、サラと母親。
父親は絵を描いたり彫刻を造ったりする芸術家で、独り、ウェールズの孤島の古い家で暮らしています。
母娘2人の生活に行き詰まり、2人は父親の元に身を寄せます。
家は海辺にあり、その上にはいわくつきの崖が。
50年前、ウェールズの土俗宗教を元とする宗教を信じる信者たちが、教祖に唆されるままに大量に投身自殺したのです。
ある日、サラは海辺で遊んでいて行方不明に。
するとそれと入れ替わるように、サラと同じ年頃の少女が現れます。
ウェールズの古い民話に、人を海にさらう魔女がいて、溺れ死んだ者を生き返らせるには替わりに別の者を差し出さなければならない、というものがあって、これが全編を通じた基調になっています。
それでまた、現われた少女というのが、可愛い顔して極悪なのですよねぇ。
儀式によって死んだ幼い息子を蘇らせたら、悪魔のように邪悪な存在として生き返った「ペット・セメタリー」を彷彿とさせます。
このあたりから、なんでもありのダーク・ファンタジーになっていきます。
ホラー映画というのはわりあいとルールや理由がはっきりしていて、それが無いとホラーになりません。
古くは満月の夜になると狼男が出るとか、吸血鬼は日光にあたると死んでしまうとか。
殺人鬼の話でも殺人鬼なりの無理目な理由が設定されています。
昔いじめられたとか、生きる喜びを知らしめるために殺すとか。
ところがファンタジーというのはルール無用みたいなところがあって、どうにでもなってしまうので、不気味な雰囲気は出せますが、背筋も凍る恐怖のような味わいを出すのは困難です。
今回もやっぱりダーク・ファンタジーの限界を超えることはできませんでしたねぇ。
ウェールズの孤島の荒涼とした感じとか、頑迷で迷信深い田舎の人々とか、雰囲気が良かっただけに残念です。
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