シリア情勢が混沌としてきました。
英米両国はシリアのアサド政権が反政府軍に対し、生物化学兵器を使用したと疑い、疑いはいつの間にか確信に近付いているようです。
確たる証拠も無いのに。
イラクが大量破壊兵器を保有していると難癖をつけてイラク戦争をおっぱじめ、フセイン大統領を裁判にかけて処刑してしまったことは記憶に新しいところです。
後になって、大量破壊兵器は無かったことを英米は認めましたが、それでもイラク戦争は正しかったと強弁しています。
イラク戦争開戦には、独仏両国が激しく反対し、それに反発した米国ではカマンベールチーズ不買運動というおまけまでつきましたね。
哀れなのはフセイン大統領。
世界一たくさんの大量破壊兵器を保有しているのは米国自身だというのに。
リビアにも介入し、アフリカの狂犬と呼ばれたカダフィ大佐を殺害しましたね。
そのような愚行をまた繰り返そうというのでしょうか。
シリアはリビアやイラクと異なり、ロシア製の強力な防空システムを持っているとかで、米国はとりあえず駆逐艦による艦砲射撃を行う構えのようですが、それではアサド政権を倒すのは難しいでしょうね。
空爆、しかる後地上戦まで覚悟しなければ、ロシアの支援を受け、隣国も英米に協力しないと言っている以上、アサド政権は倒せません。
大体なんだって、英米はいつも油の出る国にばかり強硬なのか、それは自明ですが、言うだけ野暮と言うものです。
何しろ中露がシリアへの攻撃に強く反対していますし、生物化学兵器を使用したという証拠がありません。
疑わしきは攻撃するのが、いつもの英米のやり方です。
約70年前、わが国もその手でコテンパンにやられました。
英米のやり方はいつもそう。
理屈は後から付いてくるとばかり、英米にとって厄介な存在は武力で抹殺してしまうのです。
で、わが国はどうすべきか。
大局的に見て、最後は英米に協力せざるを得なくなるでしょう。
わが国は米国の軍隊によって守られているわけですから。
おそらく後方支援や資金援助を行うというのが落とし所でしょうが、いつそれを表明するのか。
大義のない戦争に加担するのは虚しいことですが、国家同士の付き合いというのは、正義や大義で行うものではありません。
一応、正義や大義を振りかざしつつ、結局のところ自国の利益を第一に考えなければならない、冷酷なものです。
それにしても、アサド政権というのはしぶといですねぇ。
アラブの春で次々とアラブ諸国が政権を打倒するなか、自国民を相手に長期間、残虐な戦闘を繰り返して、恥じるところがありません。
そうは言ってもそれは内戦で、基本的には内戦を戦っている国家が自ら収拾すべきもので、外国による介入はいらぬお節介というもの。
第二次大戦後、米国は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、その他小規模の介入を繰り返し、ほぼ常に戦時中といった状況です。
戦い続けなければ不安でしょうがないかのごとくです。
ネイティブ・アメリカンから土地を簒奪して国家を作り、その後は西へ西へと侵略を続け、ついに太平洋にいたるや、海を渡ってハワイ王国を併合し、当然の帰結としてそのさらに先にある巨大帝国主義国家である大日本帝国を打ち負かしました。
その侵略し続けてきた歴史が、いつか自分たちは復讐される、とあらぬ恐怖を呼び、その恐怖を忘れようと常に戦い続けているように見受けられます。
もういい加減世界を支配しようなどという夢は捨て、他国のことは他国に任せるように方向転換すれば良いものを。
しかし、もし私が政府高官の地位にあったなら、苦渋の選択として、英米の戦争に協力することを選ぶでしょう。
中国やロシア、北朝鮮に囲まれ、価値観を同じくするはずの韓国は反日で凝り固まっています。
現段階では、米国に付いていくしかありません。
切ないですねぇ。
わが国が自力で世界を渡っていける力があれば、米国の奴隷のような政策判断をしなくても良いはずなのに。
今は静かに、軍事力や経済力を蓄えるしか、方法は無いようです。