今宵は古い知り合いがわが家を訪れ、夜通し呑む予定です。
仮にK君としましょうか。
K君と初めて会ったのは、1985年4月のことです。
高校入学の日でした。
もうじきあれから30年の日月を数えるとは、まさしく光陰矢のごとし。
当時、私もK君も15歳。
紅顔の美少年でした。
その後K君とは友誼を結び、高校・大学と同じ学校に通いました。
大学生になると、K君はふらぁっとわが家を訪れては、盃をともにするようになりました。
それもたびたび。
それは私が一人暮らしを始めても、同居人と二人の暮らしを始めても、変わらず、わが新居を時折訪れては、酒を飲んで行くのでした。
また北海道や信濃路、果ては遠くタイまでも二人で旅した仲でもあります。
世間では、こういう関係を親友と呼ぶのかもしれませんね。
しかし、私もK君もそんな手垢の付いたウェットな表現は大嫌い。
私には、知り合い、という言葉しか思い浮かびません。
K君は40代半ばを迎える今も都区内で独身生活を謳歌しています。
もう誰かと暮らすなんて面倒くさいようです。
それは羨ましくさえあります。
紅顔の美少年は美中年にはならず、K君は頭髪の薄いおじさんになり、私は貧相に痩せて染みだらけのおっさんになりました。
それでも、K君とひとたび顔を合わせれば、学生時代にタイム・スリップしたかのような奇妙な感覚に襲われるから不思議です。
もう若くは無いので、昔のような無茶飲みだけはしないように気をつけなければなりませんね。