バタフライ・エフェクト

映画

 昨夜は久しぶりに文句なしに面白いサスペンス風のSFを観ました。
 「バタフライ・エフェクト」です。

 バタフライ効果(エフェクト)とは、カオス理論を端的に表した比喩で、ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか、という講演のタイトルに由来します。

 カオス理論とは、小さな要素が複雑な結果をもたらすことです。
 すなわち、数学上積分による解が得られないため、数値解析による他はなく、しかも数値解析は無限でなければ解は得られないが、数値を計算するには有限でしかあり得ないため、ランダムではなくて決定論的な結果であるにも関わらず、予測ができないことです。

 それを端的に表すと、ブラジルで蝶がはばたくとテキサスで竜巻を起こす、という、風が吹けば桶屋がもうかる、みたいな話になるわけです。

ちなみに、風が吹くとなぜ桶屋が儲かるかというと、以下のような理由だそうです。
 
①大風で土ぼこりが立つ。
②土ぼこりが目に入って、盲人が増える。
③盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)。
④三味線に使う猫皮が必要になり、猫が殺される。
⑤ネコが減ればネズミが増える。
⑥ネズミは桶を囓る。
⑦桶の需要が増え桶屋が儲かる。

 まさにバタフライ効果を分かりやすく表したようなわが国の慣用表現ですね。

 度々記憶が飛ぶ少年が長じて脳の記憶に関する機能を勉強する学生になり、その時過去の日記を読んで幻覚を見、忘れていた記憶を取り戻すことから、日記を読み返しては少年時代の記憶を取り戻しているうちに、記憶を取り戻しているのではなく、過去に戻っていることに気付きます。
 つまり、日記があれば、過去のある瞬間をやり直すことができるわけです。
 結果、当然未来が変わってきます。
 過去から見た未来とは現在のことですから、主人公が過去に戻るたびに、気がつくと全く異なった世界になっています。
 そして誰かが、必ず不幸になっているのです。
 その不幸な友人なり肉親なりを救うため、また過去に戻る、という愚行を繰り返します。
 特に幼馴染の女の子は、学生になったり、ウエイトレスになったり、売春婦になったり。
 この女の子との淡い恋が、過去を変えようとする主たる動機になっています。

 そして、主人公は辛い決断をします。
 自分だけが不幸になればよいと考えるわけです。
 最後のタイムトリップは、辛いものとなりますが、結果は予想どおりのものになり、これを最後にしようと日記を燃やしてしまうのです。

 サスペンス風の出だしで始まり、少年少女の淡い恋が描かれ、後半は怒涛のSFになる、という豪華な作りで、飽きさせません。

 お勧めの一作です。

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