今日は掘り出し物のホラー味の強いSFを鑑賞しました。
「ヒューマン・レース」です。
突然白い光に包まれ、80人もの人が謎の空間に放り出されます。
そこには道があり、家があり、学校や刑務所があるのですが、鉄の矢が所々に道路標識のように立てられ、進むべき道を示しています。
そして声が聞こえます。
道を逸れたら死ぬ、芝生に触れたら死ぬ、2周遅れたら死ぬ、レースを拒んだら死ぬ、勝者は一人だけ、と。
要するに町を指定されたコースどおりに何周もし、最後の一人が生き残るという理不尽なゲーム。
理不尽なゲームを課す映画は数多く製作されましたが、いずれも仕掛けた犯人が存在していました。
しかしこの映画でゲームを仕掛けているのは、人智を超えた存在です。
冒頭、主人公かと思われた少女が道路わきの芝生に出た途端頭が爆発して死亡してしまうなど、うまくだましてくれちゃいます。
聴覚障害者の男女が仲良く手話で会話しながら走っていたのに、男が女に悪戯しようとして女に芝生に突き飛ばされ、死を悟った男が最後に手話で女に詫びたり。
様ざまな理由で頭が爆発して人が死んでいき、最後の数人になるともはやレースというより殺し合いです。
神父は「ここは煉獄で狭い道を辿れば天国に行き着く。神が与えた試練だ」と言いますが、確かにそうとでも考えなければ理屈が合わない理不尽さです。
ネタバレになりますが、勝利した者に、声は「ここは人類用の競技場で、勝利者は別の場所で行われている天使の勝利者と戦う。天使のレースが終るまで休め。人類が勝ったことはないが、幸運を祈る」などとのたまいます。
そしてひどい悪相の両翼を付けた天使との一騎打ちが始まる場面でエンディングとなります。
80人もいれば人種も多彩なうえ、悪いやつ、親切なやつ、ずるいやつ、子ども、老人、障害者など様々で、正しく人間社会の縮図を見せ付けられているようです。
そのうえ種々の凝った仕掛けが隠されており、じつによく出来たエンターテイメントに仕上がっています。
是非ご覧ください。
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アメイジングD.C. |