ピーナツまき

文学

 今日は節分ですね。

 豆をまいて福を呼び、鬼を払う日。
 私も実家に住まいしていた頃は、盛大に豆まきを行いました。
 寺だったため、部屋数が多く、すべての部屋で豆まきをするのは面倒でしたね。
 
 自室で豆をまく時だけは、福は内、鬼も内、と唱えていました。
 生来のひねくれ者ゆえ、鬼を招いてその呪力を我が物にせむと考えたのです。
 また、鬼や土蜘蛛などが、大和政権にまつろわぬ土着の民への蔑称の意味もあったことを知れば、鬼に行き場が無いのは哀れなことです。

 先日車中でラジオを聞いていたら、号泣必至の名作童話「泣いた赤鬼」を知った幼児が、鬼は悪いやつではないと考え、かつての私のように、福は内、鬼も内、と唱えるようになったとか。
 将来有望なガキです。

 今日近所を散歩していたら、殻付きピーナツを撒いている家がありました。
 何をしているのじゃ?と疑問に思っていたら、千葉生まれの千葉育ちである同居人が教えてくれました。
 ピーナツが特産の千葉県では、ごく一部ではあるが、節分に殻付きピーナツを撒く家があるというのです。
 殻付きピーナツなら外に撒いても殻をむいて食すことができ、合理的だから、とのことでした。

 それを聞いた私は、しばしぽかん口。
 合理的かもしれませんが、古来からの神事を、そのように捻じ曲げてよいものかと、憤りを感じました。
 千葉県人の心性は大らかというか小さなことを気にしないというか、どこかいい加減なのでしょうねぇ。

 スーパーには恵方巻きがたくさん売っていました。
 いつから関東で恵方巻きという習慣が取り入れられたのでしょうね。
 元々は関西限定の神事だと聞きましたが。
 もちろん関東者の私は、西の習慣に従う気などさらさらなく、不味そうな食い物だと、売り場を素通りしたのです。

 鬼のみなさん、外に追い払われたのなら、わが家に来るがよろしいでしょう。
 優しく迎えて差し上げます。
 その代わり、持てる呪力の一部を私に分けてください。

泣いた赤鬼 (絵本)
長崎 尚志,浦沢 直樹
小学館
ないた あかおに (絵本・日本むかし話)
池田 龍雄
偕成社


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