フランシス・コッポラの自主製作、「ヴァージニア」

映画

 最近あまり聞かなくなったと思っていた「ゴッド・ファーザー」シリーズや「地獄の黙示録」を手がけた巨匠コッポラ監督
 そのコッポラ監督がハリウッドを離れ、自主製作したというゴシック・ホラー「ヴァージニア」を観ました。
 じつは終って監督の名がクレジットで流れるまでコッポラ監督の作品だとは知りませんでした。

 アマゾンでは酷評が目立ちますが、私は非常に凝った感じの、良く出来たダーク・ファンタジーだと感じました。

 予告編をご覧ください。
 

 売れないホラー作家、ボルティモアは、唯一そこそこ売れている魔女の小説を車に積んで、米国を旅しながらサイン会を開いて小銭を稼いでいます。
 あるとき、推理小説の祖、エドガー・アラン・ポーが滞在したこともあるという田舎町を訪れます。

 かつてポーが滞在していたというホテルは廃業。
 田舎町の住民は家出人や流浪者、年金生活者など、現世と関わりを持ちたくない者ばかり。
 町の真ん中には巨大な時計台が。
 しかも時計の面が7つもあり、全てに時計が据えつけられ、町のどこからでも時計を見ることができます。

 しかしなぜか、7つの時計はそれぞれ違う時刻を告げています。
 従って正午の鐘も深夜の鐘も、一日7回打つのです。


 サイン会で本を買ってくれたのはオカルト好きの年老いた保安官のみ。
 保安官事務所の死体安置所には、杭を打たれた少女の遺体が保管されています。

 また、この町では1955年に13人もの子どもが殺されるという凄惨な事件が起きており、それが今も町の雰囲気を暗くしています。

 また、町外れにある湖の向こう岸には、悪魔崇拝のカルト集団と考えられているパンクファッションの若者達がキャンプ生活をおくっています。

 作家としての行き詰まりに悩むボルティモアは、毎夜モーテルでパソコンを前にウイスキーをがぶ飲みしながら執筆に励んでいます。

 しかし当然、それが奇怪なお話であればあるほど、頭は冴えきっていないとまともなものは書けません。

 アルコールの効用に、饒舌になるということが挙げられるかと思いますが、話し言葉同様、酔うと書き言葉も次々と浮かび、天才にでもなったような気分で駄文を書き散らかしますが、翌朝二日酔いの頭を抱えてその原稿を読めば、使い物にならないことはすぐに分かり、ますます悩むというわけです。

 酔って眠るたびに、ヴァージニアと名乗る12歳の美少女が現われます。
 そして、ポーも。

 夢と現が交互に描かれる手法で、現はカラー、夢は白黒で表現されますが、夢の中でもヴァージニアだけは鮮やかな総天然色なのです。

 これはなかなか幻想的で美的な手法で、私はうっとりと白黒の世界にただ独り、鮮やかな色で、王女のように、あるいは娼婦のようにも見える美少女、ヴァージニアを見つめました。

 ボルティモアは夢の中でポーに導かれ、新たな作品の構想を模索します。

 大きく括ると吸血鬼物とも言えますが、そういう見方をするとこれは駄作以外の何物でもありません。

 しかし、美的で繊細で古風な恐怖映画として見れば、これほど優れた作品も珍しいでしょう。

 おそらくホラー映画ファンの中ではかなり好悪が分かれると思います。

 まずはご覧になってください。
 ただし、レンタルはTSUTAYAでしか扱っていませんのでご注意を。

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