昨日の新聞で、ブルシット、という概念が紹介されていました。直訳すると、牛の糞。転じて、たわ言というほどの意味だそうです。
アメリカの哲学者ハリー・フランクファートという人の論文に、ブルシットは嘘よりも真理にとって脅威である、と書いています。
嘘は、それが嘘であるという自覚がなければつけません。つまり、真理を知っているか、知ろうとしている者にのみ、嘘はつけるのです。
しかし、ブルシットは、真理に無関心な者が吐く言葉です。意味内容を吟味することなく、好き放題の言いっぱなし。したがってブルシットは、真理にとって強力な敵となるのです。
そしてこの新聞記事では、鳩山総理が弄している言辞は、このブルシットにあたる、と断じています。言うことが朝と夕で変わったり、命を守りたい、とか国会で演説しておきながら、安全保障の勉強をして、やっと沖縄の米軍が重要なことがわかった、と言ってみたり。
要するに、真理を知ろうとする意欲、真理に基づいた言葉がないのです。国民の歓心を買おうという欲望にとりつかれ、ブルシットを吐き続けるのです。それがいかに国政を混乱させる愚行であるか考えもせずに。
鳩山総理には、退陣しか道はのこされていないと思います。
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