1928年11月22日、パリでラヴェルの「ボレロ」が初演されました。
「ボレロ」といえば、私が強烈な印象をもって思い出すのは、「愛と哀しみのボレロ」ですねぇ。
中学生の頃初めて観て、非常に感銘を受け、その後何度もビデオで観ています。
1930年代から1960年代にかけて、パリ、モスクワ、ニューヨーク、ベルリンに住む4つの家族の物語が、それぞれとは関係なく、同時並行で進められます。
第二次世界大戦を経て冷戦時代に突入。
それぞれの家族は時代の波に翻弄されます。
ソヴィエトからの亡命を試みる者、ただ淡々と日をおくる者、人間精神の運動は様々な方向に向かい、その欲望、野心、日々のいざこざなどが、人間精神の偉大さを印象付けます。
そしてラスト、パリの広場で「ボレロ」の演奏会が開かれます。
4つの家族は、互いを見知らぬまま、ダンサーとして、司会者として、歌手として、観衆として、そこに集うのです。
4つの家族は最後まで交わることはありません。
ただラストのボレロで、一体となって偉大な芸術をともにするのです。
たいへん長い映画で見どころ満載なのですが、簡単に紹介すると以上のようになります。
中年になって長い文芸作品を観るのが億劫になってしまい、専ら気楽なホラー映画ばかり観るようになってしまいました。
これは私の精神の衰退なのでしょうか。
あるいは新しい精神の運動の始まりなのでしょうか。
いずれにせよ、明日をも知れぬ身であれば、現在の運動に身を投じる他ありません。
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![]() | ラヴェル:ボレロ |
カラヤン(ヘルベルト・フォン),ラヴェル,ラヴェル,ムソルグスキー,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 | |
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