マンハッタン計画とは、第二次大戦末期、ナチス・ドイツの原爆開発計画に危機感を抱いた亡命ユダヤ人が米国政府に働きかけて原爆を開発、使用した一連の計画です。
マンハッタン計画では二つのタイプの違う原爆を使用し、人体にいかなる影響があるかを探ることを目的の一つとしており、現実に広島と長崎にタイプの違う原爆が投下され、多くの被爆者は治療されることなくモルモットのように経過を観察され、データを米国に送られる、という屈辱を与えられました。
この計画は行きつくところまでいってしまいました。
すなわち、末期がんの患者18名にプルトニウムを直接注射し、その影響を観察したのです。
これが暴露されたことがきっかけになって、1996年、大統領諮問委員会が、過去、どのような核の人体実験が行われたかの調査を行いました。
知的障害者に放射線物質を混入させた食事を取らせたり、がん患者に全身放射線照射をおこなったり、合計23,000人以上の米国人が核の人体実験の被害にあったことが判明しました。
この計画の暴露や、冷戦終結、反核運動など、複雑な要素がからみあって、国際司法裁判所は、1996年、一般原則として核兵器の使用は国際法違反だが、極限的な自衛のためであれば国際司法裁判所としては判断できない、という意見を出しました。
核兵器使用を国際法違反とした、勇気ある意見表明です。
この30年、米国が最も恐れている潜在的核保有国が日本です。
1974年、当時のキッシンジャー国務長官は、国家安全保障会議において、日本が核武装することを信じている、と危機感を表明しています。
摩訶不思議なことに、北朝鮮が核武装する、と言って頑張ったらば、米政府高官の一人が日本の核武装が心配だ、と言ったことです。
日本は非核三原則などと絵空事を並べながら、しっかりと自衛のための核武装というオプションを保持し続けています。
そして現在日本に貯蔵しているプルトニウムだけで、約625個の核兵器を製造でき、ロケット技術はもともと持っているので、弾道弾ミサイルを持つことも可能です。
日本は核武装する必要はないでしょう。
コストもかかるし、国際的非難も浴びます。
ただ、いつでも製造可能だ、ということをちらつかせることは、あり得るのではないでしょうか?
いずれにしろ、使えば報復攻撃され、人類絶滅の危機に瀕する、意味のない兵器です。
人間に救いがあるとしたら、例えそれが人類絶滅への恐怖からだとしても、長崎以降、実戦では使用していない程度の智恵はある、ということです。
この記事は下の本を読んで書いたものです。記事にあげた事実は下の本に拠っています。歴史に学ぶ侵略と戦争の論理 岩本 勲 晃洋書房
マンハッタン計画
