メーガン法

社会・政治

 福岡県警の元警官が、7か月で四件ものワイセツ事件を犯した咎で逮捕されたそうです。
 最初の逮捕の時に離婚、妻子と別れて実家でぶらぶらしながら犯行を重ねたそうです。
 
 珍しいのは、その内容。
 一般的に性犯罪というと、覗きなら覗き、下着泥棒なら下着泥棒、児童買春なら児童買春と、同じような罪を重ねるものですが、この元警官の場合、9歳の女児に抱きつく、干してある下着を覗く、16歳の女子高生を押し倒す、20歳の女子大生のスカートの中を鏡で覗く、など、対象年齢も犯罪行為も多岐にわたっていました。
 9歳から始まって16歳、20歳と上がってきているので、放っておいたら30、40と熟女へまで至ったのですかねぇ。
 強姦や強姦殺人などの凶悪犯罪に至らなかったことだけは、不幸中の幸いというべきでしょう。
 
 男の性欲というのは女性に比べて対象が揺らいでいる傾向があるように思います。
 生殖になんら関係がない、下着やハイヒール、あるいは女子高生や看護師などの制服に興味を示したり。
 ひどい場合には惨殺することでしかエクスタシーを感じられなかったり。
 まことに迷惑な話です。
 しかも性犯罪の多くは、再犯に至ります。
 
 それは当然だろうなと思います。
 
 例えば私は、20代半ばの健康なおねえさんが好き、というこの世で最も生き易い性的嗜好を持っていますが、一度そういうおねえさんと性交したからそれで一生満足というわけにはいきません。
 必ず、またしたくなります。
 年齢とともにその欲求は低下しますが、なかなか完全になくなるということはないでしょう。
 
 それと同様、幼女や少女を好む男は何度でもそういう対象を相手にいたずらしたくなるでしょうし、下着好きは千枚盗んでも満足しないでしょう。
 飯だって、腹いっぱい食っても半日もすればまた腹が減るし、十分寝ても一日働けばまた眠くなります。
 性欲もまた、同様でしょう。

 そうかと言って性犯罪者をのさばらせるわけにもいかないし、下着泥棒や覗きなどで一生刑務所で暮らせ、というわけにもいきますまい。
 性依存症であれば治療することも可能なのかもしれませんが、性犯罪と性依存症の因果関係が定かではありません。
 単なる性的嗜好の問題なのか、治療を要する依存症なのかなんて、専門医でも判別困難なのではないでしょうか。 
 タイガー・ウッズが性依存症の治療を受けたことでこの病名も少しは認知されるようになりました。
 17人の女性から55人の子をもうけたオットセイ将軍こと徳川家斉なども、現代に生きていれば病人でしょう。

 結局、罪の償いを済ませた元受刑者の人権を考えると、私としてはすごく嫌ではありますが、米国のメ―ガン法(性犯罪者の個人情報をインターネット等で広く開示し、再犯を防止する法律。出所や転居の際、地元住民にその事実が周知される。法律の名前は小児愛者の男に強姦・殺害された7歳のメーガンちゃんからとったもの)みたいなものが最も有効なのかもしれません。


性犯罪者から子どもを守る―メーガン法の可能性 (中公新書)
松井 茂記
中央公論新社
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