いつの時代にも、時代が迫害するものが存在しますね。
ヨーロッパの魔女狩りや同性愛、ジプシー、米国のレッド・パージ、わが国では戦前の共産主義者への迫害。
近頃感じるのは、小児愛への過剰な敵視を感じます。
小児愛への敵意は、小児=18歳未満とされるようになって、極まった感があります。
民法では女性は16歳から結婚できるのに、変ですね。
少年少女の恋愛を扱った文学や映画は数知れず。
また、少女に惑わされる中年男を描いた芸術作品もたくさんあります。
もちろん、小児愛が原因で児童虐待や強姦などの犯罪を犯した者は厳罰に処すべきです。
「戦場のピアニスト」で有名なロマン・ポランススキー監督は米国在住のとき13歳の少女を強姦し、有罪判決を受けましたが、フランスに逃亡。
かの地で市民権を得て堂々と暮らしています。
これは許されないことです。
また、「テス」の主演女優、ナスターシャ・キンスキーとは、彼女が15歳のときから肉体関係を持っていたのは有名な話ですが、こちらは男女合意のもとですから、例え15歳といえども問題ないと思っています。
私は現在の先進国では、小児愛をめぐって一種のモラル・パニックが発生しているものと考えています。
恋愛の末の性交、金儲けのための児童ポルノ、小児愛を描いた芸術、小児愛、18歳未満との性交、これらが混然一体となってタブーを形成し、何が悪く、何が許されるのか、わけが分からなくなっています。
「テス」はトマス・ハーディの有名な悲劇ですが、主人公テスは美少女であるがゆえに、貴族の男の慰み者にされ、純愛の相手となったエンジェルでさえ、テスに対して時にサディスティックな一面をのぞかせます。
読者はテスに対してサディスティックな喜びを抱く共犯者になるか、テスと同じ立場に立って犠牲的精神に酔うか、どちらかの態度を取らざるを得ません。
これは、現在の小児愛をめぐる社会状況と奇妙に一致します。
小児愛を密かに嗜好する犯罪者になるか、小児愛者を攻撃する迫害者になるか。
ニュートラルな立場は許されないかのごとくです。
小児愛者が実際に小児虐待や強姦をしたのならともかく、性的嗜好だけをもって責めるべきではありません。
性的嗜好を理由に他者を責めれば、その刃は時代によって、簡単に現在まともとされている成人の異性を性的対象にする私たちに返ってくるでしょう。
モラル・パニックを起こすとそれが収束するのに長い時間がかかります。
人類の叡知が、小児愛者の性的嗜好と児童の保護を矛盾なく両立させる日がくるものと夢想せずにはいられません。
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